英数字の用語
きゃぴたるげいん資産の価格変動に伴って得る利益をいう。
株式や不動産などの売買差益はこれに当たる。
資産から得られる利益の種類で、その保有により得る利益をインカムゲイン、その価格変動に伴って得る利益をキャピタルゲイン(損失はキャピタルロス)という。株式の配当、不動産の賃料、預金の利子などはインカムゲイン、株式や不動産などの売買差益はキャピタルゲイン(譲渡益、資本利得ともいう)である。
両者は税務上の取扱いなどが異なるため、投資に当たっても両者の性格の違いを十分に認識しておくことが重要である。
もっとも、両者は無関係ではなく、資産の価格はそれから得ることのできる利益を現在価格に還元したものの総額に等しいとされているため、例えばインカムゲインが増大すれば資産価格が上昇して、キャピタルゲインを得る機会となる。ただし、資産価格は期待や予想に左右されやすいことに注意が必要である。
えすくろー
取引の際に、売り手と買い手の間に信頼を置ける中立な第三者を仲介させること、またはそのサービスをいう。
不動産取引の安全を確保するためにアメリカで発達した仕組みであり、最近は電子商取引の決済においても活用されている。
不動産取引の場合には、エスクローサービスを提供する第三者は、売り手からは権利証書等を、買い手からは代金を寄託され、物件の確認、決済、登記、引渡しなどの業務に当たる。もっとも、日本ではあまり広まっていない。取引当事者間に信頼感があること、宅地建物取引業者が包括的なサービスを提供していることなどの事情によるものと考えられる。
あいあーるあーる
不動産経営などの投資事業においてその収益性を評価する指標の一つで、事業から得られるキャッシュフローの現在額と投資額が等しくなる割引率をいう。Internal Rate of Returnの略語。
事業から将来得られるであろう各期間のキャッシュフローを現在価値に換算するには一定の割引率によって減価しなければならないが(第n期の収益を(1+割引率)のn乗で除する)、そのようにして算出したキャッシュフローの合計額と投資額とが等しくなるような割引率である。IRRは収益性が高いほど大きな数値となる。事業評価や投資判断などに当たって利用されている。
不動産投資においては、DCF法が収益をベースに資産価格を算出して事業を評価するのに対して、IRRは投資額の回収性に着目して評価することになる。
IRRを利用する場合には、事業規模に左右されない指標であること、事業期間を適切に設定する必要があることなどに注意しなければならない。
じぇいりーと
不動産投資信託のことで、アメリカのREIT(Real Estate Investment Trust)の日本版であることから、JREITと呼ばれる。
不動産を買収、賃貸して収益を得る専門の会社(投資法人)または同様の機能を担う信託会社が証券を発行し、金融商品として取引される。その発行主体がJREITであり、それぞれが運用する不動産の種類やその構成は異なる。証券は発行主体ごとに流通するが、証券取引所に上場されているものも多い。需給に応じて、その取引価格も日々変動する。
株式会社の利益の源泉は事業による収益であるが、JREITの利益は、不動産の賃貸や売買による収益から得られる。その収益は、課税されることなくほぼそのまま投資家に分配されることが特徴である。株式投資とJREIT投資とを比較すれば、株式会社、株券、株価、配当金に当たるのが、それぞれ、投資法人(または信託)、投資証券、投資口価格、分配金と考えてよい。
不動産の証券化の手法として中心的な役割を果たしており、2001(平成12)年9月に初めて上場されたがその後急速に拡大し、金融市場において一角を占めるに至っている。
えむびーえす
Mortgage Backed Securityの略。不動産を担保とした融資に係る債権を裏付けとして発行された証券で、一般にモーゲージと呼ばれる。
住宅ローン債権を裏付けとする証券がRMBS(Residential Mortgage Backed Securities)、商業用不動産担保ローンを裏付けとする証券がCMBS(Commercial Mortgage Backed Securities)である。
えぬおーあい
Net Operating Incomeの略。純収益という意味で、収入(賃料)から、実際に発生した経費(管理費、固定資産税など)のみを控除して求める。減価償却費のような支出を伴わない費用、支払利息のような金融費用、修繕費などの資本的な支出は収入から控除しないため、事業によって生み出される単純なキャッシュフローとなる。
例えば、不動産賃貸により得ることのできる純粋な収益額がこれに相当し、資産価値を評価する場合の指標となる。
なお、NOIから資本的な支出を控除したものがNCF(Net Cash Flow)である。
えぬしーえふ不動産経営において用いられる概念で、不動産から得る単純なキャッシュフロー収益から資本的な支出を控除した金額をいう。Net Cash Flowの略語。
不動産経営によって生み出されるキャッシュフロー収益は、家賃収入と管理コスト(減価償却費等のキャッシュフローに影響しない費用、および支払い利息等の金融費用は算入しない)との差額となる。この場合に、管理コストの算定に当たって、修繕費等の資本的支出を考慮し算入するのがNCFである。不動産鑑定評価に当たって収益還元法を用いるときには、このNCFをベースにすることが多い。
一方、資本的支出を考慮せず単純なキャッシュフローベースで収益を算定するのがNOI(Net Operating Income)である。
さんじゅうごじょうしょめん
「重要事項説明書」と同じ。それを参照。
なお、重要事項説明に当たって35条書面を交付するのは宅地建物取引士である。一方、37条書面は宅地建物取引業者が交付する。
さんぜんまんえんとくべつこうじょ
譲渡所得の課税において、譲渡益から3,000万円を控除して課税する制度をいう。
個人が、居住用財産(自ら居住している土地・建物)を譲渡して譲渡利益が生じた場合に、この譲渡利益に対する所得税の課税に当たって、譲渡利益から3,000万円(譲渡利益が3,000万円未満のときはその額)を控除して譲渡所得を計算する特別の措置である。この特例が適用されるのは、住まなくなった日から3年目の年末までに譲渡した場合である。
また、相続した空き家を譲渡した場合にも、3,000万円特別控除が適用される
さんじゅうろくとうしん(としかせんにかんする~)
都市河川を下水道幹線(暗渠)として利用する旨の答申。1961(昭和36)年、東京都市計画河川下水道調査特別部会が報告した。
この答申には、市街地における河川汚濁の現況に対応するとともに、下水道整備を促進するために、源頭水源を有しない東京都内の14河川について、次の方針で対応すべきと述べている。
1.一定の区間について暗渠化して下水道幹線として利用すること
2.下水道幹線として利用しない区間は、舟運上などの理由から特に必要な部分を除いて覆蓋化し、公共的な利用を図ること
3.狩野川台風(※)並みの降雨でも氾濫しないよう整備すること
この答申はほぼそのまま実施された。また、この考え方は都市内の中小河川について拡大して適用され、その覆蓋化等が進められた。
(※)1958(昭和33)年、9月26日に神奈川県の三浦半島に上陸した台風22号のこと。狩野川上流部に記録的(最大時間雨量120mm)という記録的な豪雨を降らせた。これにより、狩野川はいたるところで氾濫し流域に未曾有の大水害をもたらした。
ごとうじゅっしつきじゅん
不動産の貸し付けにおいて、その貸し付けの戸数が一戸建ての貸し付けで5棟以上、アパートの貸し付けで10室以上に達して いるとき、この不動産の貸し付けは「事業的規模」に達したという。
このような判定基準のことを「5棟10室基準」と呼んでいる。
ちなみに「5棟10室」とは「5棟または10室」という意味であり、一戸建て1棟とアパート2室を同等とみなしている。従って、一戸建ての1棟とアパート 8室を賃貸する場合には、「事業的規模」に達したものと判定される。
ごぱーせんとるーる(ふどうさんのりゅうどうかにおける)
特別目的会社に不動産を譲渡することにより当該不動産を資金化する場合に、会計処理に当たって、その取引が不動産の売買か、金融取引かを判断するためのルールであり、日本公認会計士協会が定めた。
これによると、流動化する不動産の譲渡時の適正な価額(時価)に対するリスク負担の金額(劣後部分)の割合がおおむね5%程度以内ならば、リスクと経済価値のほとんどが移転していると判断して、売買取引(真正売買)として扱うとされている。
このようなルールが必要となるのは、不動産の譲渡後も譲渡人が当該不動産に継続的に関与し続けるような場合には、その実態は資金の供与を受ける取引(譲渡担保)と変わらず、当該不動産を譲渡人の倒産等から隔離できないからである。このルールは2000(平成12)年7月に公表され、これによって、会計処理上不動産の売却と認められるためには、リスクと経済的価値の大部分が投資家に移転する必要があることが明確となった。
また、譲渡人の子会社である特別目的会社を譲受人として流動化する場合には売却取引として会計処理することはできない。一方、いったん特別目的会社に不動産を売却し、改めて当該不動産を賃借する場合には、適正な賃借料を支払うという条件を満たせば真正の売却として取り扱われる。
注意を要するのは、一般に「5%ルール」という場合には、証券取引ルールの一つである、株券等の大量保有の状況に関する開示のルールを意味することである。公開会社の発行済株式総数の5%を超えて実質的にその株式を取得した者は、原則として、取得日から5日以内に大量保有報告書等を提出しなければならないことなどを内容とするが、このルールと、不動産の流動化における5%ルールとはまったく異なる。