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1. 地主が高齢で認知症のケース
地主が高齢で認知症であるという場合が、増えています。この場合、借地権の処分を希望する借地人は、借地非訟事件において、特別代理人選任申立をする必要があります。
今回は、借地人が高齢で、認知症の兆候がある場合に、どのような手段がとれるのかを、ご説明します。
借地は、地代の支払い、更新料(契約上の合意があれば)、契約終了時には原則原状回復をして地主に土地を返還する(23区内であれば、原状回復には、最低でも、数百万円程度はかかる)、等の、負担がある財産です。
そのため、必ずしも、借地を維持しておくことがよいとも限りません。
借地を誰も使用しておらず、その見込もないのであれば、地代の支払いという負担だけが存在します。
借地人が高齢で、認知症の兆候もあるという場合、その家族が地代の支払いや管理をしていることも多く、その負担感はそれなりに大きくなります。
このような、高齢で認知症の兆候もある借地人が、借地非訟申立をできるかですが、訴訟行為能力(借地非訟は手続行為能力)は、具体的訴訟行為ごとに、その内容、結果の重大性等から判断されます(コンメンタール民事訴訟法Ⅰ第2版追補版295頁 株式会社日本評論社)。
前述したような、財産だけれども負担もある、という借地の性質からすると、借地非訟で必要とされる手続行為能力は、使用していない借地権を処分したい、金銭的な負担を免れたい、という意思があれば、訴訟行為能力(手続き行為能力)はあると言えると考えられます。
したがって、弁護士が、その借地人から委任を受けて、借地非訟申立をすることは、可能と言えます。
ただし、借地非訟手続が譲渡許可で終了し、建物の登記移転のために司法書士がその借地人の本人確認をした際、借地非訟申立時のような意思を表明しないことがありえます。借地非訟手続は、どんなに早くても数ヶ月はかかるので、その間に、認知症が進行している可能性があるのです。
そのため、仮に、司法書士の本人確認の際、借地権の売買に反対の意思を表明する等した場合、そのリスクは譲受人が負うことになってしまいます。
なお、認知症の借地人が、完全に意思を表明できない場合は、上記の場合とは異なり、家庭裁判所に、後見開始の審判申立てをし、成年後見人を選任してもらう必要があります。
借地人が借地を使用せず、地代の支払いが負担となっているような場合には、譲受候補者があれば、借地権の処分自体は、可能です。借地人がその借地上の建物に居住していたことがある場合には、裁判所に、居住用不動産の処分についての許可を求めることになります。
ただし、認知症の場合は治癒することがないので、後見が開始するとその借地人が亡くなるまで、後見が続きます。煩わしさを感じるご家族もいますので、成年後見人を選任して処分すべき借地なのかどうかを検討して、決めていただくことになります。
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