借地権割合とは?路線価図の見方や相続税評価額の調べ方を解説!

土地の相続で借地権の評価額はどう計算すればいいのか、悩まれている方も多いのではないでしょうか。借地権は目に見えない財産ですが、相続税の対象となるため、正確な評価が欠かせません。
特に都心部では借地権割合が80〜90%と高く設定されているため、相続税額に大きな影響を与える可能性があります。しかし、路線価図を使えば、借地権割合は誰でも簡単に調べることができます。
この記事では、借地権割合の基本的な考え方から、路線価図の見方、相続税評価額の具体的な計算方法まで、分かりやすく解説します。これを読めば、ご自身の借地権の価値を把握し、相続税の概算を知ることができます。

そもそも借地権割合とは

借地権割合とは、土地の価値のうち借地権が占める割合を示す指標です。
土地を借りて建物を建てると、その土地には地主の権利である「底地権」と、借主の権利である「借地権」という2つの権利が存在することになります。つまり1つの土地に2つの権利が共存する状態となるのです。
借地権割合は、この土地の評価額に対して借地権がどの程度の価値を持っているかを数値化したものです。例えば借地権割合が70%の土地であれば、土地の評価額の70%が借地権の価値、残りの30%が底地権の価値となります。
この借地権割合は国税庁によって30%から90%の範囲で定められており、地域ごとに異なる割合が設定されています。一般的に、都心部の商業地など土地の利用価値が高い地域では80〜90%と高く設定され、郊外の住宅地では50〜60%程度となっています。また、山間部など借地権の取引慣行がない地域では、借地権割合が設定されていないケースもあります。
このように借地権割合は、その土地がある地域の特性や利用価値を反映して決められており、相続税や贈与税の計算において重要な指標となっています。

借地権割合はどんな時に必要?

借地権割合は、主に相続税や贈与税の計算をする際に必要となる重要な数値です。借地上に建物を建てて利用している場合、土地を所有していなくても借地権自体が財産として相続税や贈与税の課税対象となるためです。
例えば、自用地評価額が1億円で借地権割合が90%の都心部の土地であれば、借地権の評価額は9,000万円となります。一方、同じ評価額でも借地権割合が50%の郊外の土地であれば、借地権の評価額は5,000万円と大きく異なってきます。このように、借地権割合の大きさは課税評価額に直接影響を与えます。
また、借地権割合は地代の算定にも利用されます。地主が借地人から受け取る地代は、土地の評価額と借地権割合をもとに計算されます。一般的な地代の計算式は「土地の価額×(1-借地権割合)×6%」とされています。
そのため、相続や贈与の可能性がある借地については、事前に借地権割合を調べて概算の税額を把握しておくことをおすすめします。特に都心部など土地の評価額が高い地域では、相続税対策が必要になることも多いため、早めの準備が安心につながります。

路線価図と借地権割合の調べ方

借地権割合は、国税庁のホームページで公開されている「財産評価基準 路線価図・評価倍率表」から誰でも簡単に調べることができます。
路線価とは、道路(路線)に面する土地の1平方メートルあたりの評価額のことで、相続税や贈与税を計算する際の基準となる価格です。例えば路線価図に「450C」という表示があれば、この数字は1平方メートルあたり450,000円(450×1,000円)という評価額を示しています。
路線価の後に表示されているアルファベット(A〜G)が、その地域の借地権割合を表しています。「A」は90%、「B」は80%というように、アルファベットごとに決められた借地権割合が設定されています。先ほどの「450C」の場合、「C」は借地権割合70%を示していることになります。
なお、市街化調整区域や郊外部など、路線価が設定されていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」を確認する必要があります。
図中の赤枠を例に挙げると、215Dという数字は1平方メートルあたりの路線価を表しており、千円単位で表記されているため、実際は215,000円となります。右上のアルファベットは借地権割合を表しています。借地権のある土地が角地などで前面道路が2つ以上ある場合、最も借地権割合の高いアルファベットが適用されます。
これらの路線価や借地権割合は国が地域ごとに指定しています。つまり赤枠の例では、路線価が1平方メートルあたり215,000円で借地権割合は60%となります。土地の面積が仮に100平方メートルの場合、以下の計算式で借地権の価格を求めることができます。

路線価 × 借地権割合 × 土地の面積 = 借地権価格

【この場合の計算式】

215,000円/平方メートル × 0.6 × 100平方メートル = 12,900,000円

となります。つまり、土地の面積が100平方メートルの場合、借地権の価格は12,900,000円です。

路線価が設定されていない場合は倍率表で調べる

路線価は主に市街地で設定されており、郊外の農村地域などでは設定されていない場合があります。路線価が設定されていない地域は「倍率地域」と呼ばれ、固定資産税評価額に国が指定する倍率表を用いて評価額を算出します。

【倍率表の例】

引用元:国税庁
引用元で提示されている倍率表の青枠を例に説明します。この地域(東京都八王子市)の倍率表では、宅地の倍率は「1.2」となっています。つまり、この地域の固定資産税評価額に1.2を乗じたものが相続税評価額となります。
倍率表は、路線価図や借地権割合と同様に国税庁のウェブサイトで公開されています。また、固定資産税評価額については、毎年送付される納税通知書内の課税明細書で確認するか、市町村役所で固定資産税評価証明書を取得して確認できます。

借地権割合を使って相続税評価額を算出する方法

借地権割合と路線価が分かれば、借地や底地(借地権が設定された土地)の相続税評価額を計算することができます。評価額が分かれば、相続税の概算も把握できるため、相続税対策を検討する際の参考になります。

借地の相続税評価額の算出方法

借地の相続税評価額は、以下の計算式で求めることができます。
相続税評価額 = 自用地評価額 × 借地権割合
例えば、土地の面積が100平方メートル、路線価が50万円/平方メートル、借地権割合が70%(C)の場合、以下のように計算します。
  1. 自用地評価額の計算:50万円 × 100平方メートル = 5,000万円
  2. 借地権の相続税評価額の計算:5,000万円 × 70% = 3,500万円
このように、借地権の相続税評価額は3,500万円となります。なお、土地の形状や接道状況によって補正が必要になる場合もあります。

底地の相続税評価額の算出方法

底地の相続税評価額は、以下の計算式で求めることができます。

相続税評価額 = 自用地評価額 × (1 – 借地権割合)

先ほどと同じ条件(自用地評価額5,000万円、借地権割合70%)で計算してみましょう。

5,000万円 × (1 – 70%) = 5,000万円 × 30% = 1,500万円

このように、底地の相続税評価額は1,500万円となります。借地権が設定されている分だけ、土地の評価額が低くなることが分かります。底地の場合も土地の状況によって補正が必要になることがありますので、正確な評価額は専門家に確認することをおすすめします。

借地権割合で相続評価額を計算するときの注意点

相続税評価額の計算には、複数の要素が絡み合うため、細心の注意が必要です。特に路線価や借地権割合は地域によって大きく異なるため、対象となる土地の場所を正確に特定することが重要です。

相続評価額と実際の取引価格は異なる

相続税評価額は、あくまでも相続税や贈与税を計算するための基準であり、実際の市場価格(実勢価格)とは異なります。実際の取引では、地代の金額や更新料の有無、建替えの際の地主の承諾の必要性など、さまざまな要素が価格に影響を与えます。
例えば、借地権を売買する場合、地主の承諾が必要となりますが、その承諾を得られるかどうかによって、実際の取引価格は大きく変動します。また、借地契約の残存期間や地代の改定条件なども、市場価格を左右する重要な要素となります。

より正確に知りたい場合は専門家に相談する

土地の形状が特殊な場合や、接道状況が複雑な場合は、奥行価格補正率や間口狭小補正率などの各種補正が必要となります。また、がけ地や不整形地の場合も、それぞれの状況に応じた補正計算が必要です。
このように相続税評価額の計算は専門的な知識が必要となるため、正確な評価額を知りたい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家に依頼することで、土地の個別の状況を考慮した適切な評価額を算出でき、また相続税対策のアドバイスも受けることができます。

まとめ

借地権割合は、相続税や贈与税の計算において重要な指標となります。路線価図を確認することで、誰でも簡単に借地権割合を調べることができ、概算の相続税評価額を把握することが可能です。特に都心部など土地の評価額が高い地域では、借地権の価値も高額になるため、早めに相続税対策を検討することが賢明です。
借地権に関する正確な評価や相続税対策については、専門家に相談することで、より適切な対応が可能となり、将来の相続に向けて万全の準備を整えることができます。
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