地主が借地権を買い取る際の価格相場は?
手続きや交渉のポイントも解説
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地主に借地権を売却したいと考えたとき、多くの方が「本当に売れるのか?」「いくらになるのか?」と不安を抱くでしょう。
本記事では、地主への売却を検討する方に向けて、以下のポイントをわかりやすく解説します。
- 価格相場の目安
地主への売却価格は、更地価格の50〜60%程度が一般的です。
その根拠や計算方法、価格が変動する要因について紹介します。 - 売却手続きの流れ
査定依頼から意思表示、契約、引渡しまでを段階的に進めることで、売却がスムーズになります。
本文では各ステップごとに、交渉のポイントについても解説します。 - 交渉を円滑に進めるコツ
書面での意思表示、相談ベースの対話、専門家の活用など、信頼を得るための工夫を紹介します。 - 地主が応じない場合の代替案
第三者への売却、借地非訟の申し立て、借地権専門業者への売却など、複数の選択肢を比較します。
地主との関係性や物件の状況に応じた現実的な判断をサポートする、実践的な内容です。
そもそも地主に買い取りはお願いできる?

関係性が良好であれば、売却提案が円滑に受け入れられるケースも少なくありません。
これは、地主自身が土地の有効活用を検討していたり、権利関係の整理を望んだりしているといった背景もあります。
実際に高齢の地主が、相続や土地の管理負担を軽減したいという理由から、借地権者の申し出を受け入れた例もあります。
このように、地主に直接交渉することは現実的なアプローチであり、売却の第一歩として有効です。
借地借家法における地主の買取義務の有無
借地借家法において、地主には借地権を買い取る義務は規定されていません。
建物買取請求権の制度は存在しますが、それは借地契約が終了した際に建物を時価で買い取る義務であり、借地権そのものを強制的に買い取らせる法的根拠とはなりません。
そのため、地主に借地権の売却を申し出たとしても、交渉の結果によっては断られる可能性があります。契約内容や信頼関係に基づいて話を進めることが大切です。
法的な位置づけを理解して交渉に臨むことが、現実的な期待値を設定するうえで欠かせません。
地主に買い取ってもらう場合の価格相場
地主に借地権を買い取ってもらう際には、価格交渉が最も重要なポイントになります。
ここでは、実際の相場感や計算の仕方を具体的に見ていきます。
一般的な買取価格の目安:更地価格の50〜60%
地主による借地権の買取価格は、更地価格の50〜60%程度が一般的な目安です。
70%になることもあります。これは、地主がすでに底地を保有しており、借地権を取得することで完全所有権となる付加価値が生まれるためです。
具体的なイメージをまとめました。
更地価格 | 借地権価格(目安50%) | 借地権価格(目安60%) |
---|---|---|
2,000万円 | 1,000万円 | 1,200万円 |
3,000万円 | 1,500万円 | 1,800万円 |
4,000万円 | 2,000万円 | 2,400万円 |
ただし、実際の売却価格は以下のような個別要因によって変動します。
- 地域の地価相場や路線価
- 建物の築年数や再建築可否
- 地主の意向や交渉姿勢
そのため、この50〜60%という割合はあくまで参考値と考え、詳細な査定や交渉前に、不動産の専門家への相談や市場相場の把握が不可欠です。
交渉を有利に進めるための「相場感覚」として活用しましょう。
借地権割合・路線価・建物の状況による査定変動
借地権の価格は、単に「更地価格の●%」という単純な基準だけでは判断できません。
実際には、借地権割合・路線価・建物の現況などが複合的に関係し、最終的な査定額に大きな差が生じることがあります。
● 借地権割合
- 借地権が更地価格に対してどの程度の価値を持つかを示す割合
- 地域ごとの基準があり、一般的には60〜70%前後
- この割合により、借地権の基本的な評価額が左右される
● 路線価
- 国税庁が公表している、道路に面する標準的な土地の1㎡あたりの価格
- 借地権の評価においては、この路線価がベースとなる
- 借地権割合と組み合わせて借地権価格が算出される
● 建物の現況
- 築年数、劣化状況、構造などにより評価が大きく変動
- 老朽化している場合は解体費用が必要となることも
- 建て替えの可否(再建築不可物件など)も価格に影響を与える
- 同じ立地・面積でも建物の条件次第で査定額に差が出る
査定を行う際は、これら3つの要素を総合的に精査することが重要です。
特に、専門家の目による個別評価が正確な価格把握に直結します。
借地権を地主に売却する4つの手続きと交渉ポイント

借地権の売却を地主に持ちかける場合、必要な手続きは大きく4つのステップに分けられます。
以下では、それぞれの段階で意識すべき交渉の進め方や準備のポイントをあわせて解説します。
1.不動産会社を選んで査定を依頼する
まずは信頼できる不動産会社に依頼し、借地権の査定を受けることがスタートです。
複数社の査定を比較することで、価格交渉時の材料としても有効です。
交渉のポイント
- 査定は1社だけでなく、複数社から取得して価格の妥当性を把握する
- 査定書は地主への説明資料としても活用できるため、客観的なデータを重視
- 査定内容の根拠を事前に理解しておくことで、交渉時に説得力が増す
2.地主から売却の承諾を得る
査定価格をもとに、地主に対して売却の意思を伝え、了承を得る交渉段階です。
最初から価格を突きつけるのではなく、あくまで相談ベースで丁寧に話を切り出すのがコツです。
交渉のポイント
- 最初は「相談という形で話を切り出す」ことで相手の抵抗感を減らす
- 売却意思はできるだけ書面で明示し、トラブル回避に備える
- 提案時には査定書を活用して、数字に裏付けられた価格を提示
- 譲歩できる範囲・できないラインを整理しておくことで柔軟な対応が可能
3.売買契約を締結する
合意が得られたら、いよいよ契約手続きです。
契約書の内容や登記の方法など、実務的な確認と調整を正確に進めることが求められます。
交渉のポイント
- 登記名義や権利関係に誤りがないか、事前に登記簿で確認しておく
- 解体・更地渡しが求められる場合、費用やスケジュールの調整を明確に
- 登録免許税や印紙税などの諸費用の負担者も、契約書で明文化しておく
4.借地権を引き渡す
契約後は、合意内容に沿って借地権の引渡しを行います。
登記や税務処理をスムーズに進めるには、専門家のサポートも有効です。
交渉のポイント
- 所得税の確定申告に向けて、契約書や領収書などの証憑類を保管
- 売却益が出た場合は、翌年の2月〜3月に譲渡所得の確定申告が必要
- 手続きが複雑な場合は、不動産会社や税理士・弁護士に依頼しておくと安心
地主への売却は、丁寧な準備と段階的な交渉が成功のカギです。
価格だけでなく、相手との信頼関係や柔軟な姿勢も交渉において重要な要素となります。
以下のような体制で進めるとよいでしょう。
- 不動産会社による査定+サポート
- 書面での意思表示と根拠資料の提示
- 専門家(弁護士・税理士)の同席による交渉支援
借地権を地主に買い取ってもらうメリット・デメリット

借地権の売却先として地主を選ぶことで、さまざまな利点を得られます。
ただし、すべての取引が順調に進むとは限らないなど、デメリットも意識しておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
譲渡承諾料が不要のため、手取り額が増える | 地主が買い取りに応じない場合がある |
信頼関係がある相手のため、交渉がスムーズに進みやすい | 建物の解体や更地引き渡しを条件にされる場合があり、費用負担が発生する |
現金化までの手続きが簡易でスピーディー | 税務申告や登記変更など、売却後の事務手続きが煩雑になりやすい |
地主への売却は、手続きの効率性や信頼関係の面では有利ですが、交渉の難易度や解体費用などのリスクも考慮する必要があります。
事前に条件を確認し、専門家と連携して進めることが成功のポイントです。
地主が買い取ってくれないときの代替案
ここでは、地主以外への売却手段とその特徴を比較しながら、現実的な対応策を解説します。
まずは「スピード」「価格」「手間」の3つに分けて整理しました。
代替案 | スピード | 価格 | 手間 |
---|---|---|---|
第三者への売却 | △ 中程度(数週間~) | ◎ 市場価格に近い | △ 調整や譲渡承諾料の対応が必要 |
借地非訟の申し立て | × 遅い(数ヶ月以上) | ◎ 市場価格の維持が可能 | × 手続きが複雑で負担が大きい |
借地権専門の買取業者に売却 | ◎ 速い(最短1~2週間) | △ 相場より低めの傾向 | ◎ 手間が少なく一括対応可能 |
第三者への売却(地主の譲渡承諾が必要)
この方法では、地主の譲渡承諾が必須です。承諾を得ることで、契約違反とならずに安全に借地権を譲渡できます。
その際に譲渡承諾料(相場で譲渡価格の10%前後)が発生するのが一般的です。
また、不動産会社を通じて交渉や買主選定を進めるのが一般的であり、専門家の関与は比較的少ないものの、信頼できる仲介業者に依頼することでスムーズに進めやすくなります。
借地非訟の申し立て(裁判所の許可が必要)
地主が譲渡を拒否した場合に使える方法で、地主の承諾は不要ですが、代わりに裁判所の許可が必要になります。
「借地非訟」という法的手続きによって、裁判所が合理性を認めれば譲渡が可能になります。
この手続きには専門的な知識が求められるため、不動産に強い弁護士の関与が事実上必須です。時間と費用がかかるため、慎重な検討が必要です。
借地権専門の買取業者に売却
この方法では、業者が地主との交渉を代行するか、地主の承諾を得なくても売却できるような契約方法や取引の仕組みを採用している場合もあります。
また、譲渡承諾交渉や非訟手続きのサポートも一括対応してくれる業者が多いため、地主の承諾が不要な場合も含め、柔軟な対応が可能です。
専門家の関与は業者内で完結するケースが多く、売主としては特別な対応を求められにくいのが特徴です。スピードと安心感を重視する人に適しています。
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借地権売却で発生する税金と手続き

借地権の売却に際しては、思わぬ税負担が発生することもあるため、事前に確認しておくことが大切です。
ここでは、主な税金や手続きの種類と、それに対処する方法について整理します。
譲渡所得税
借地権を売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税が課されます。譲渡所得の計算式は以下の通りです。
- 売却額 -(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得
さらに課税対象となる他の要素の例として、以下も挙げられます。
- 取得費の例
過去に支払った権利金、登記費用、仲介手数料 など - 譲渡費用の例
売却時の不動産仲介手数料、印紙代など - 取得費が不明な場合
売却額の5%を一律で取得費とみなされ、税負担が大きくなる
不動産取得税・登録免許税など
譲渡所得税以外にも発生する可能性がある税として、登録免許税、印紙税、不動産取得税があります。
- 登録免許税
通常は買主負担/ただし契約によっては売主負担もあり - 印紙税
売買契約書の金額に応じて、数千〜数万円が必要 - 不動産取得税
売主にはかからない(買主側が対象)
確定申告の必要性と専門家に依頼すべきケース
確定申告が必要になった場合の申告時期や必要書類、専門家に依頼すべきケースなどを以下にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
申告時期 | 翌年2月~3月 |
必要書類 | 売買契約書、領収書、査定書、仲介手数料の明細など |
適用可能な控除 | 所得控除、繰越控除など(要件を満たす必要あり) |
専門家に依頼すべきケース | 所得が複雑/節税対策をしたい/申告に不安がある/書類整理が困難な場合など |
借地権売却をスムーズに進めるためのポイント

借地権の売却を円滑に進めるためには、事前準備と適切なサポートが欠かせません。
ここでは、売却前に行っておくべき対応と、手続き全体を円滑にするための工夫を紹介します。
事前に建物や借地権の登記内容を確認
売却を検討する際は、まず所有している建物や借地権の登記内容を確認しましょう。登記簿謄本の内容が現況と異なっていると、買主に不信感を与えたり、取引に支障をきたしたりする可能性があります。
また、名義が借地人本人でない場合や、抵当権などの権利関係が存在する場合には、事前に整えておく必要があります。法務局で登記簿を取得するか、専門家に依頼して確認するのが確実です。
書類不備や名義相違は、価格交渉や契約手続きの妨げになります。準備段階でのチェックを怠らないことが、スムーズな取引の第一歩です。
できれば更地か空家にしておく
買い手にとって、物件の第一印象は非常に重要です。老朽化した建物が残っているよりも、更地や空家の状態の方が、購入後の活用イメージがしやすくなります。
特に借地権の取引では、更地引渡しを希望されることも多いため、建物の解体を含めた整理を事前に検討しておくと良いでしょう。費用がかかる場合でも、売却価格に反映される可能性があります。
空家であっても、清掃や修繕によって「管理されている印象」を与えることで、評価が上がるケースもあります。見た目の印象を意識した準備は、買い手の安心感にもつながります。
専門の不動産会社や弁護士にサポートを依頼
借地権の売却は、一般的な不動産取引と比べて複雑な要素が多く、専門的な知識と交渉力が求められます。経験豊富な不動産会社や、借地借家法に詳しい弁護士に相談することで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
価格査定や契約条件の調整、地主との交渉や税務面のサポートなど、多岐にわたる業務を一括して任せることが可能です。特に売却が初めての方や、権利関係が複雑な物件を扱う方には心強い味方となるでしょう。
専門家のアドバイスを受けながら進めることで、想定外のリスクにも柔軟に対応できる体制を整えることができます。
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よくある質問(FAQ)
借地権の売却に関して、特に相談の多い質問とその回答をまとめました。
初めて売却を検討する方や、地主との交渉でお悩みの方は、以下の内容を参考にしてみてください。
Q.借地権の地主に買い取ってもらう相場はいくらですか?
地主による借地権の買取価格は、地域や土地の特性、借地権の種類によって大きく変わります。
特に土地の位置や利用可能性、市場の動向によって価格が左右されます。
例えば、都心部の商業地では地価が高騰しているため、相場も高めに設定されますが、郊外や利用価値の低い土地では相場はそこまで高くないのが一般的です。
Q.地主が連絡に応じてくれない場合はどうする?
地主と連絡が取れない場合、まずは郵送や内容証明郵便での正式な連絡手段を試みましょう。
それでも返答が得られないときは、裁判所への「借地非訟手続き」を通じて、売却や更新の許可を得ることが可能です。
弁護士に相談することで、手続きの準備や書類作成をスムーズに進められます。自己判断で放置せず、法的措置を視野に入れた対応が望ましいでしょう。
Q.建物が古くても買い取ってもらえる?
建物が古くても、借地権としての価値があれば買い取りは十分に可能です。
建物自体の評価が低い場合でも、更地化や解体を前提に価格交渉が行われることがあります。
また、老朽化していても建物が存在することで借地権の権利性が維持されているケースもあります。
まずは不動産会社に査定を依頼し、現況に応じた対応策を探ることが重要です。
Q.借地権だけを業者に売るのは危険?
信頼できる業者であれば、借地権のみの売却でも問題はありません。
ただし、取引相手の実績や契約内容をしっかり確認することが前提となります。悪質な業者との取引では、価格の不当な値切りや、契約後のトラブルが生じるリスクもあるため注意が必要です。
不安がある場合は、弁護士や専門家を通じて契約内容の確認を行いましょう。業者選びは慎重に行うのが賢明です。
まとめ

地主への借地権の買取を検討する際には、地主との交渉が成功の鍵を握ります。
借地権の買取や売却は、通常の不動産売買とはルールが異なるため、トラブルに発展するケースも珍しくありません。
そのため自身での交渉は避け、専門的な知識や実績のある不動産業者に仲介を依頼することをお勧めします。
借地権無料相談ドットコムでは、借地権に関する相談を無料でお受けしています。
借地権の相続、売買、手続き関係など、借地権に関する内容なら幅広く対応しています。さらに、相談から買取までワンストップで可能なため、借地権に関するさまざまな問題はすべて借地権無料相談ドットコムで解決できます。
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