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- 底地の相続について
底地は、土地と建物の所有者が異なる特殊な土地です。
一般的な不動産とは異なり、自由に売却したり活用したりできないため、相続をきっかけにトラブルに発展するケースは少なくありません。
しかし、底地の特徴や相続後の対応方法を正しく理解し、適切な手続きを踏めば相続後の不安を解消できる可能性が高まります。
この記事では、底地の相続に関する手続きの流れやメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。底地の相続で困っている方、どのように対処すればよいかわからない方は、ぜひ最後までお読みください。
監修
宅地建物取引士 坂東裕
2013年より不動産業に従事。
2015年に宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーを取得。
地主交渉のスペシャリスト。借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
累積取引数は300件を超える。
趣味は不動産と料理。得意料理はイタリアン。
監修
宅地建物取引士 坂東裕
2013年より不動産業に従事。
2015年に宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーを取得。
地主交渉のスペシャリスト。借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
累積取引数は300件を超える。
趣味は不動産と料理。得意料理はイタリアン。
底地を相続する流れ
底地は一般的な不動産と異なるため、相続手続きの順序や内容を正確に把握する必要があります。
適切な手続きの流れを知らずに進めると、大きな問題に発展するかもしれません。
底地の相続で必要となる手続きは、以下の通りです。
- 相続人の調査および確定
- 財産目録の作成
- 遺言書の有無を確認
- 遺産分割協議の実行
- 法務局で相続登記による名義変更
- 相続税申告
ここでは、底地を相続する流れを詳しく解説します。
相続人の調査および確定
相続が発生した際、最初に必要な手続きは被相続人の戸籍をたどり、相続人を正確に特定する作業です。
相続人の範囲を明確にしなければ、財産分割や登記といった手続きを進められません。
戸籍は出生から死亡までの家族関係が記録されているため、すべての相続人の把握に欠かせない資料です。特に以下のケースでは、戸籍をさかのぼって確認しなければいけません。
- 前の配偶者との間に子供がいる
- 養子縁組をしている
- 認知した子供がいる
すべての相続人が確定した後は、誰が相続人であるかを証明する書類を作成し、後の手続きに備えます。
財産目録の作成
相続人が確定した後は、財産目録を作成する作業に取りかかります。
財産目録とは、被相続人が所有していたすべての財産を一覧にした書類です。底地をはじめ、以下のものをもれなく洗い出します。
- 預貯金
- 株式
- 不動産
- 自動車
- 借金
- 未払金
財産の種類や評価額、債務の内容などを具体的に記載する必要があるため、通帳の履歴や固定資産税の納税通知書、権利書など、多くの書類を収集しなければいけません。
財産目録の作成は、遺産分割協議を円滑に進めるうえで欠かせない工程です。また、相続税の申告が必要になった際にも根拠資料となります。
遺言書の有無を確認
相続財産を特定したら、被相続人が遺言書を残していないかを確認しましょう。
遺言書は、自宅の金庫や机の引き出しなどに保管されているケースが一般的です。ただし、2020年から始まった、法務局での遺言書保管制度を利用している可能性もあります。
また、遺言書が見つかったら、開封前に家庭裁判所で検認手続きを行わなければいけません。怠ると、遺言書が無効になる可能性があるため、注意が必要です。
遺産分割協議の実行
遺言書がない、あるいは遺言書に記載されていない財産がある場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。
遺産分割協議は、どの相続人がどの財産をどれだけ取得するかを話し合う手続きです。
協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。相続人全員が押印(実印)し、印鑑証明書を添付すると、法的な効力を持たせられます。
ただし、底地は特殊な財産であるため、評価方法や分割方法について相続人同士で意見が対立する可能性があります。そのため、専門家のアドバイスを求めるのもひとつの選択肢です。
法務局で相続登記による名義変更
遺産分割協議が終わり、誰が底地を相続するかが決まったら、不動産の名義変更手続きを行います。
この手続きは相続登記といい、法務局で申請しなければいけません(2024年4月から義務化)。正当な理由がなく放置すると、10万円以下の過料に処される可能性があるため注意が必要です。
ただし、相続登記をするには遺産分割協議書や被相続人の戸籍全部事項証明書など、複数の書類を提出しなければいけません。
相続税申告
最後は相続税の申告を行います。
相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、被相続人が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内に、所轄の税務署へ申告しなければいけません。
基礎控除額の計算式は、以下の通りです。
相続税は財産評価の方法によって税額が変動するため、底地のような評価が難しい財産は専門知識が必要です。
誤った申告をした場合、追徴課税などのペナルティが科される可能性があります。
底地を相続するメリット
底地は特殊な不動産のため、一般的な土地のように自由な活用ができません。しかし、相続によるメリットがいくつかあります。
- 地代収入で毎月の収入を得られる
- 小規模宅地等の特例で相続税の節税につながる
ここでは、底地を相続するメリットを詳しく解説します。
地代収入で毎月の収入を得られる
底地を所有すると借地人から毎月、地代を受け取れます。
底地の地代は、賃貸アパートやマンションのように、入居者募集や建物の維持管理などの手間がかからない安定した収入源です。
地代の額は借地契約の内容によって異なりますが、契約が継続している間は安定して地代収入を得られるでしょう。
小規模宅地等の特例で相続税の節税につながる
相続した底地は、小規模宅地等の特例の適用対象となるケースがあります。
小規模宅地等の特例は被相続人が居住や事業に利用していた土地で、一定の要件を満たすと相続税の課税価格を最大80%減額できる制度です。
底地は被相続人が貸付事業用として使用していた土地とみなされるため、適用される場合があります。これにより、相続税の負担を大幅に軽減できる可能性が高まります。
底地を相続するデメリット
底地を相続する主なデメリットは、以下の5つです。
- 土地の活用方法が限られ流動性も低い
- 土地の評価額が低い
- 借地人とトラブルが発生する可能性がある
- 相続税が発生する
- 共有名義の底地はさらにトラブルに発展しやすい
底地は一般的な不動産とは異なる複雑な性質を持つため、所有には独特なリスクが伴います。それぞれのデメリットを理解しておけば、相続後のトラブルを回避できるほか、適切な対応を検討できるでしょう。
ここでは、底地を相続するデメリットを詳しく解説します。
土地の活用方法が限られ流動性も低い
底地を相続すると土地の上に借地人の建物が建っているため、自由に土地を利用できません。
駐車場やアパート経営などの土地活用は、できない可能性が高いでしょう。
また、底地は一般の土地と比べて市場性が低く、買主を見つけるのが困難です。不動産会社でも、取り扱いに長けた会社は限られています。
そのため、いざ売却したいと考えても売買が成立するまでに時間がかかり、希望する価格での売却が難しいケースがほとんどです。
土地の評価額が低い
底地の評価額は、所有者が自由に利用できる更地と比べて低く評価されます。
これは土地の上に借地権があり、利用や処分が制限されるためです。
具体的には更地の評価額から借地権の価格を差し引いたものが、底地の評価額です。そのため、相続税評価額は低くなり、負担を抑えられる可能性があります。
しかし、売却する際の価格も低くなるため、資産としての価値は一般的な土地よりも低い傾向です。
借地人とトラブルが発生する可能性がある
底地を相続すると、土地の所有者として借地人との関係が始まります。
借地人との間では、さまざまな場面で以下のようなトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
- 地代の増額
- 減額交渉
- 建物の建て替えや増改築の承諾
- 名義変更料の支払い
また、地代の未払いや滞納が発生するケースもあり、その度に借地人に連絡を取り解決を図らなければいけません。
話し合いで解決できない場合は裁判所に調停を申し立てるなど、法的手段に頼る必要も出てきます。
相続税が発生する
底地を相続すると、多額の相続税が発生する可能性があります。
底地の評価額は更地よりも低いものの、他の相続財産と合算した総額が基礎控除額を超えた場合、相続税を支払わなければいけません。
また、相続税は現金での一括納付が原則です。
しかし、底地自体は流動性が低く、すぐに現金化するのが難しい財産といえます。そのため、相続税の納税資金を確保するには、他の現金や預貯金を取り崩す必要があり、大きな負担を強いられる可能性があります。
共有名義の底地はさらにトラブルに発展しやすい
底地が複数の相続人による共有名義になると、トラブルに発展する可能性が高まります。
共有名義の底地は売却や借地人との契約内容の変更、建て替えの承諾など、重要な決定を行う際に共有者全員の同意が必要です。共有者それぞれが異なる考えを持っていると、意見の対立が生まれ、合意形成が困難になる可能性があります。
また、1人でも連絡が取れなくなってしまうと、何も決められない状態に陥り、管理や処分が滞るリスクがあります。
底地を相続したら選ぶべき対応方法
底地を相続したら選ぶべき対応方法は、以下の通りです。
- そのまま所有し続ける
- 借地人への売却
- 第三者への売却
- 底地と借地権の同時売却
- 等価交換や収益物件への組み換え
- 底地を専門に取り扱う不動産業者への売却
ここでは、底地を相続した際の対応方法について詳しく解説します。
そのまま所有し続ける
相続した底地は、そのまま所有し続けるのも一つの選択肢です。
所有し続ける場合、借地人から継続的に地代収入を得られるほか、手間のかからない安定した資産を保有できます。
特に借地契約は長期にわたって継続するケースが多いため、長い期間の収益を見込めるでしょう。
ただし、借地人との関係を良好に保ち、地代の支払い状況を定期的に確認する必要があります。将来的に売却する可能性がある場合は、専門家と相談し、いつでも売却できる準備を整えておくべきです。
借地人への売却
相続した底地は、土地に建物を所有している借地人に売却できます。
借地人が底地を買い取ると、土地と建物の所有権が同一人物に帰属し、完全な所有権を持ちます。借地人は資産価値を高められるほか、土地の利用制限をなくせるメリットを得られるため、交渉がスムーズに進む可能性も高くなるでしょう。
土地の所有者にとって借地人は、有望な買主です。
第三者への売却
借地人への売却が難しい場合は、第三者への売却も検討すべき選択肢です。
しかし、一般の不動産会社や個人投資家は、底地の取り扱いに慣れていない場合が多いため、交渉が難航する可能性があります。
また、第三者に売却すると、借地人に売却するケースに比べて価格が低くなりやすい傾向にあります。これは借地権が付いているため、買主にとってのメリットが少ないためです。
そのため、売却の可能性を高めたい場合は、底地を専門に扱っている不動産会社を利用しましょう。
底地と借地権の同時売却
底地と借地権の同時売却は、地主と借地人の双方にとってメリットがある方法です。
地主と借地人が共同で、完全な所有権としての土地を売却します。完全な所有権の土地は市場性が高く、多くの買主候補が見つかりやすいでしょう。
そのため、底地単体や借地権単体で売却するよりも、高値になる可能性が高まります。
等価交換や収益物件への組み換え
底地を収益物件へ組み替える方法には、等価交換があります。
例えば、借地人が建物を解体し、地主が土地を提供して、新たに共同でマンションなどの収益物件を建てる方法があります。借地人は土地の代わりに完成したマンションの部屋を取得し、不動産収入を得られるようになるでしょう。
等価交換は現金化ではなく、新たな資産を形成できる点がメリットです。
ただし、借地人との合意が前提となるほか、多くの費用と手間がかかるため、専門家と十分に相談したうえで判断しなければいけません。
底地を専門に取り扱う不動産業者への売却
不動産業者への売却は、手軽で確実な方法です。
底地の売買は、一般的な不動産と比べて専門知識が必要ですが、専門業者なら地主と借地人との関係性をはじめ、土地の評価額、法律に関する知識が豊富です。
そのため、売却価格の査定や借地人との交渉、複雑な手続きなどを安心して任せられます。
迅速に現金化したい、借地人との交渉を避けたい場合に有効です。
まとめ
底地の相続は、一般的な不動産とは異なる複雑な手続きや注意点が多いため、正しい知識を持つことが重要です。
安定した地代収入や相続税の軽減効果が期待できる一方で、流動性の低さや借地人とのトラブル、相続税の負担といったデメリットも無視できません。
そのため、相続した底地をどのように活用・処分するのかを早い段階で検討し、必要に応じて不動産や税務の専門家へ相談することが賢明です。適切な対応によって、相続後の不安やトラブルを軽減し、資産を有効に活用できるでしょう。
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