専門家をうまく使える不動産業者

1. 弁護士・法書士・税理士等と仕事ができる不動産業者

今回は、借地の話とは少し離れますが、専門家をうまく使い分けられる不動産業者と、いいお付き合いをしてくメリットについてお話します。

弁護士の資格で行うことができるのは、法律事務です(弁護士法3条1項)。紛争性のある事案で依頼者の利益をはかることができるのは、弁護士だけです。

しかし、最近、他士業が、本来であれば弁護士が行う業務に参入していることがあります。

その中には、非弁行為と評価できそうな、不適切な業務を行っている士業もいます(弁護士法72条)。

先日は、相続人間で争いがある事案で、一部の相続人が懇意にする税理士が、実質的にはその相続人の代理人として、その他の相続人を税理士事務所に呼びつけて、その他の相続人に不利な不動産を含む遺産分割協議書に署名押印させたケースがありました。

相続税の申告の前提と称して、一部に虚偽の事実を提示しつつ、遺産分割協議書を作成しようとしている様子でした。この事案は、非弁行為と評価できる可能性もある上、不動産登記に必要な印鑑証明書を添付していない遺産分割協議書を作成する等、不適切な事務処理もしていました。

また、裁判手続の書類作成という名目で、実質的に、司法書士が、障害者の代理人のような立場で書面を作成して、裁判所に提出している場面も散見されます。

以上に対し、相続登記を依頼された司法書士が、相続人のうち一名と連絡がとれないことがわかった時点で、潜在的な紛争の可能性を感じたのか、司法書士の業務範囲外であるという理由で依頼を断ったケースもあり、きちんと棲み分けをしている方もいます。

基本的な業務としては、税理士は税務申告、司法書士は登記手続を行い(認定司法書士は、140万円以下であれば、簡易裁判所で訴訟を行うこととは可能)、紛争性のある法律事務については、弁護士が代理人となることになります。

当職も、弁護士の資格で登記をすることは可能ですし、税理士法51条に基づき国税局長に通知をしているので税理士業務を行うことも可能ですが、いずれもしたことはありませんし、する予定もありません。なお、国税局への通知は、税金の納税交渉のためにしたものです。

◆参考リンク:国税局長に通知を行った弁護士(国税庁サイト)
※東京国税局の弁護士一覧に当職が記載(PDF)

餅は餅屋、登記は司法書士に、税務申告は税理士に任せたほうが早くて正確です。

また、細かい実務を把握せずに、他士業の専門分野に手を出したりすれば、過誤を起こす可能性もあり、危険だと考えています。

依頼をする側も、どの士業に何を頼むのか、慎重に吟味することが重要です。本来弁護士に依頼する業務を他士業に依頼しても、極端に安いわけでもなさそうですし(逆に費用自体高いことも多い)、間違った士業に依頼して、あとで問題が起こったり、やり直しを余儀なくされたりするのであれば、結果的には、高くつくことになります。

そもそも、当事者が複数いて、潜在的に紛争性のある事案で、完全に中立な専門家というのはありえません。登記手続も、当事者全員の合意があるから司法書士が行えるのであって、紛争性があるのであれば、自分で代理人に委任して自分の利益をはからなければ、権利を実現することはできません(自分の利益はどうでもいいという人は別ですが)。相手方の代理人や専門家の説明を鵜呑みにしてはなりません。

潜在的にでも紛争性のある事案では、リスクを減らすことができ、確実な処理がされて、結果的にはコストが下げることができる弁護士に任せることをお勧めします。

ただ、一般の方は、弁護士、司法書士、税理士等、すべての専門家の知り合いがいる方は少ないと思います。

不動産業者の中は、日常的に弁護士、司法書士、税理士等と仕事をしていて、各専門家の中でも、この人にはこの分野を依頼する、という、使い分けができている会社もあります。

そのため、特に不動産取引においては、専門家をうまく使い分けられる不動産業者と親しくし、いいお付き合いをすることをお勧めします。

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