地主に借地譲渡価格を伝えますか?

1. 借地譲渡価格開示の必要性

結論は、借地非訟の譲渡許可手続では、地主に、借地譲渡価格を伝える必要はない、です。

地主に借地権譲渡の承諾をお願いすると、地主から、借地権の売買契約書の写しが欲しい、売買価格を教えて欲しい、と言われることがあります。

裁判外の交渉で、譲渡承諾料は借地権譲渡価格の1割等、地主が承諾を前提に教えてくれというのであれば、譲渡価格を開示しても差し支えはないかもしれません。

ところが、地主が教えろといい、しかし、地主に伝えない事情があるとき(地主が譲渡承諾するつもりがないのに、譲渡価格の開示を求めてくる場合等)、裁判所に借地非訟手続きで、借地権譲渡許可(借地借家法19条)をもらうしかありません。

確かに、借地権譲渡許可申立の証拠書類には、借地人と買主間の、地主の承諾又はそれに代わる裁判所の譲渡許可を停止条件とする借地権売買契約書を添付することが原則です。

しかし、借地権売買契約書の譲渡金額を黒塗りする、または裁判所の譲渡許可があれば買主が必ず買うという約束の借地権売買契約書とは別の書面を出せば、借地権譲渡許可手続きの進行には、支障ありません。

借地権売買価格が開示されたことも、借地借家法19条1項の「借地権設定者に不利となるおそれがない」かどうかの一つの事情で、借地権売買価格が開示されないまま、決定に到る事例が多くあるからです。

つまり、売買価格は、取引当事者である借地人と買主が決めるもので、決めた価格は当事者だけが知っているのが原則(私的自治の原則)で、例外的に第三者である地主に知らせなければならない、法律上の理由はないからです。

なお、借地非訟手続(借地非訟権譲渡許可)で、地主(代理人)は、お約束のように、求釈明として、売買金額を開示しろ、と主張します。

借地人としては、穏やかに、開示しませんと述べるだけですが、それに対し、中には、意味なく声高に、「なぜ出さないのだ」等と発言する地主(代理人)もいます。

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