底地の整理とは?
メリット・デメリットと5つの整理方法、
放置が招くリスクを解説

底地の管理に悩む人は、少なくありません。
遠方に住んでいる借地人との関係がうまくいかない、収益が少ない、共有名義になっており手続きが進まないなど、理由はさまざまです。
しかし、底地整理をすれば権利関係を解消できるほか、管理する手間やトラブルから解放されます。
この記事では、底地整理のメリットとデメリットや具体的な整理方法を詳しく解説します。底地の整理方法を知りたい方、整理しないリスクを理解したい方は、ぜひ最後までお読みください。

監修
宅地建物取引士 坂東裕

2013年より不動産業に従事。
2015年に宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーを取得。

地主交渉のスペシャリスト。借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
累積取引数は300件を超える。

趣味は不動産と料理。得意料理はイタリアン。

監修
宅地建物取引士 坂東裕

2013年より不動産業に従事。
2015年に宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーを取得。

地主交渉のスペシャリスト。借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
累積取引数は300件を超える。

趣味は不動産と料理。得意料理はイタリアン。

底地整理とは権利関係を解消すること

底地整理とは土地の所有者が借地人に貸している状況から、権利関係を解消することです。
底地は借地権が設定されている土地で、所有者が地主です。 建物を建てるなど自由な利用はできず、土地の所有権が制限されています。
また、底地の所有者は借地人から地代を得られるほか、借地人は底地の上に建物を建てて利用できる権利(借地権)を持ちます。
そして、売買や等価交換など、さまざまな方法で権利関係を解消するのが底地整理です。更地に戻せば土地を自由に活用できるようになったり、売却しやすくなったりするなどのメリットがあります。
一方で底地を所有している状況では、売却したくても買い手が見つかりにくいのが実情です。さらに相続時には、相続人が対応に困るケースも珍しくありません。
トラブルを未然に防ぎ、土地を有効活用するには底地整理が必要になってくるでしょう。

底地整理を検討すべきケース

以下のケースに該当する場合、底地整理を検討すべきです。

  • 借地人との関係が悪い底地
  • 収益性が低い底地
  • 複数の名義人が所有する底地

これらのケースでは、底地を所有し続けると負担が増すばかりです。底地整理はこのような状況を根本的に解決し、精神的・経済的負担を軽減できます。
ここでは、底地の整理を検討すべき3つのケースを詳しく解説します。

借地人との関係が悪い底地

底地を所有していると、地代の受け取りや契約の更新など、借地人との継続的なやりとりが発生します。
借地人との関係が悪い状態にあると、地代の交渉や土地の利用に関する取り決めがスムーズに進まず、互いに精神的な負担が増すでしょう。
関係が悪化する原因は、地代の滞納、地主の承諾なく建物を増改築されるなど、さまざまです。
このような状況が続くと、将来的に土地をどうするか話し合いたい時にも話が進まない可能性があります。また、法的なトラブルに発展するリスクも否定できません。
関係が悪化してしまう前に、底地整理を通じて権利関係を清算すれば、問題をスムーズに解決できる可能性が高まるでしょう。

収益性が低い底地

地代収入が少ない底地は、収益性が低いため整理を検討するべきです。
底地は、固定資産税や都市計画税などの維持費がかかります。地代収入がこれらの維持費を下回ると、持ち続けているだけで赤字です。
特に旧法借地権の底地は地代が長期間にわたり据え置かれているケースが多く、現在の相場に合わない安い地代になっている場合があります。
値上げ交渉をしようにも、借地人との関係が悪いとスムーズに進みません。
収益性の低い底地の整理は、赤字を解消できるだけでなく、資金を別の資産に投資するなど、有益な資産運用に転換できます。

複数の名義人が所有する底地

複数の名義人が底地を所有している場合は、整理を検討するべきです。
共有名義の底地で売却や大規模な変更を行う際は、共有者全員から合意を得なければいけません。共有者間で意見が対立したり連絡が取りづらかったりすると、話し合いがまとまらず、身動きが取れなくなります。
例えば、1人の共有者が底地の売却を希望しても、他の共有者が反対すると売却はできません。さらに共有者が亡くなると、その相続人が新たに共有者に加わるため、名義人が増え権利関係がさらに複雑化します。
底地を整理すると、名義人同士の意見の相違によるトラブルを回避できます。加えて、管理や売却が円滑に進む可能性が高くなるでしょう。

底地整理のメリット

底地整理のメリットは、3つあります。

  • 土地を管理する手間がなくなる
  • 借地人とトラブルになることがなくなる
  • 相続税の負担軽減につながる

これらは底地を所有するうえでの悩みや負担を軽減し、より良い資産運用へとつなげる有効な手段です。
ここでは、底地整理のメリットを詳しく解説します。

土地を管理する手間がなくなる

底地を所有すると、地代の徴収や管理業務などのさまざまな手間がかかります。
地代が滞納された場合の督促、借地人からの要求への対応など、管理を継続しなければいけません。
特に遠方に住んでいたり、仕事が忙しい場合は、管理業務が大きな負担となるでしょう。
しかし、底地整理によって土地の権利関係を解消すれば、これらの管理業務から解放されます。地代の徴収や契約更新の手続きが不要となるため、土地に関する悩みや負担が大幅に軽減されるはずです。

借地人とトラブルになることがなくなる

底地を所有し続けるかぎり、借地人との間でトラブルが発生する可能性があります。
地代の値上げ交渉や建物の建て替え、増改築の承諾、契約更新時の条件など、さまざまな問題で意見の対立が起こり得るでしょう。トラブルは精神的なストレスにつながるだけでなく、解決のために時間や費用がかかる場合もあります。
一方、底地整理をすれば、借地人との権利関係を清算できるため、さまざまなトラブルの根本的な解消が可能です。

相続税の負担軽減につながる

底地整理は、相続税の負担軽減につながる可能性があります。
相続税の計算において土地の評価額は、底地や更地などの利用状況によって変動するのが一般的です。特に底地に関しては、市場価格に比べて売却額が低くなる傾向にあります。
例えば、更地としての評価額が4,000万円で借地割合が70%の土地の場合、底地としての評価額は1,200万円ほどですが、実際に売却すると半値以下になるケースも少なくありません。
そのため、底地を売却してから相続したほうが相続税の負担軽減につながります。

底地整理のデメリット

底地整理のデメリットは、大きく分けると2つあります。

  • 借地人との交渉が必要
  • 地代、承諾料や更新料を得られなくなる

これらを理解したうえで、状況に合わせて最適な整理方法を検討しなければいけません。
ここでは、底地整理のデメリットを詳しく解説します。

 

借地人との交渉が必要

底地整理の多くは、借地人との交渉を伴います。
底地の売却や借地権の買い取り、等価交換など、どの方法を選んだとしても、借地人との合意がなければ手続きを進められません。
借地人との関係性が良好ならスムーズな交渉になりやすいですが、関係が悪化していると話し合いが進まず、停滞する恐れがあります。
また、交渉が長期化したり意見の対立が激化したりすると、弁護士などの専門家に依頼する必要が出てくるでしょう。この場合、精神的な負担だけでなく費用もかかります。

地代、承諾料や更新料を得られなくなる

底地整理をすると土地の権利関係が解消されるため、これまで得られていた地代や、更新料などの収入がなくなります。
底地は、地代という安定した収入源を持つ資産です。借地人から受け取る収入を生活費や他の投資に充てていた場合、それらがなくなります。
承諾料や更新料は不定期な収入ですが、金額が大きい場合もあるため、失う収入を事前に把握しておくべきです。
底地整理による収入の減少が生活にどのような影響を与えるか、事前に計画を立てておきましょう。

5つの底地整理方法

底地整理の主な方法は、以下の5つです。

  • 不動産業者への売却
  • 借地人への売却
  • 底地と借地権を同時売却
  • 底地と借地権の等価交換
  • 借地権の買い取り

それぞれを把握し、状況や目的、借地人との関係性を考慮しつつ最適な方法を選びましょう。
ここでは、5つの底地整理方法を詳しく解説します。

不動産業者への売却

不動産業者への売却は、借地人と直接交渉する必要がなく、手間や時間をかけずに底地を整理できる方法です。
特に底地の専門家がいる不動産業者は、専門的な知識とノウハウを持っているため、複雑な権利関係や法的な手続きも任せられます。
ただし、市場での流通性は低いため、希望する価格で売却できない場合があります。売却は一般の市場価格よりも、安くなる可能性があることを理解しておきましょう。

借地人への売却

借地人への売却は、底地を借地人に売却し権利関係を解消する方法です。
借地人は土地を自由に活用できるようになるため、手続きは比較的スムーズに進むでしょう。
ただし、借地人に土地を買い取る意思がなかったり、資金を用意できない場合はこの方法を選択できません。

 

底地と借地権を同時売却

底地と借地権の同時売却は、底地所有者と借地人が協力して第三者に土地を売却する方法です。
底地と借地権が一体となるため、買主にとっては所有権の制限がない土地として購入できるほか、市場価値が上がります。
この方法で売却した場合は、底地と借地権の割合に応じて売却代金を分け合います。
底地を単独で売却するよりも、高い価格で売却できる可能性があるため、売却益を最大化したい場合に有効です。

底地と借地権の等価交換

底地と借地権の等価交換とは、底地の一部と借地権を交換し、互いが完全に所有する土地を持つ方法です。
例えば、所有している底地を2つに分け、一方の所有権を自分が持ち、もう一方は借地人に譲渡します。この方法のメリットは、売買に伴う税金の支払いを避けられる点です。
しかし、土地を分筆する必要があるため、土地が狭い場合には選択が不可能です。また、等価交換であると認められるには、土地の評価額が同等でなければいけません。

借地権の買い取り

借地権の買い取りは、底地所有者が借地人から借地権を買い取る方法です。
底地所有者は土地の所有権を完全なものにできるほか、更地として活用したり第三者に売却したりできます。
しかし、買い取りにはまとまった資金が必要です。借地人が借地権の売却に応じない場合は、交渉が進まない可能性もあるでしょう。
また、借地人が第三者に借地権を売却しようとしている場合、地主には優先的に買い取る権利があります。

共有名義の底地を整理せずに放置するリスク

共有名義の底地は、特にリスクのある不動産です。
整理せずに放置した場合、以下のようなリスクが懸念されます。

  • 活用の自由度が低く売却が難しい
  • 共有持分のみの売却でトラブルに発展する可能性がある
  • 維持費や税金の負担割合でのトラブル
  • 名義人の増加による権利関係の複雑化

これらはトラブルや精神的な負担を増大させるため、早めの整理を検討すべきです。
ここでは、共有名義の底地を放置するリスクを解説します。

活用の自由度が低く売却が難しい

共有名義の底地は、活用や売却の自由度がきわめて低いのが特徴です。
土地を売却したり建物を新しく建てたりするなどの行為には、共有者全員の同意が必要とされています。共有者間で意見が対立したり連絡が取りづらかったりすると、合意形成が困難となるため土地を有効活用できません。
例えば、共有者の1人が土地を売却して現金化したいと思っても、他の共有者が反対すると売却手続きは進められなくなります。

共有持分のみの売却でトラブルに発展する可能性がある

共有名義の底地は、自分の共有持分のみの売却が可能です。
しかし、共有持分のみを欲しがる買い手は一般的ではないため、見つけるのが困難といえます。
専門の不動産投資会社が安価で買い取るケースもありますが、他の共有者との人間関係がこじれる原因になり得ます。
また、共有持分を買い取った業者が他の共有者に対して高圧的な態度で接したり、底地の買い取りを強要したりするなどのトラブルに発展する可能性もあるでしょう。

維持費や税金の負担割合でのトラブル

共有名義の底地では固定資産税や都市計画税などの維持費、不動産管理費用の負担割合で、トラブルになる可能性があります。
これらの費用は、共有者全員で分担するのが原則です。しかし、誰がどのくらいの割合で負担するのかが明確でない場合、対立が生じやすくなります。
特に連絡が途絶えている共有者がいると、連絡の取れる共有者がすべての費用を立て替えなければいけないため、大きな負担になる場合もあります。

名義人の増加による権利関係の複雑化

共有名義の底地を放置すると、相続が発生するたびに権利関係が複雑になります。
例えば、共有者が亡くなると、相続人が新たな共有者として加わります。そのため、名義人の数が増えるほど権利関係は複雑化し、話し合いが困難になりやすいでしょう。
また、将来的な売却や活用も困難になるため、早めに整理を検討しなければいけません。

まとめ

底地整理には不動産業者への売却や借地人への売却、底地と借地権の同時売却など複数の方法があります。
状況や目的、借地人との関係性を考慮し、最適なものを選びましょう。
ただし、どれを選べばよいか迷っていたり、借地人との交渉が難しい場合は、専門家への相談が最適です。底地整理は複雑な手続きを伴うため、専門知識と経験が欠かせません。
ピタットハウス秋葉原北店の「借地権無料相談ドットコム」では、底地に関するご相談を受け付けています。借地人とのトラブルがある、借地人がいるままで売却したいなどでお悩みであれば、お客様の状況に合わせた最適な底地整理の方法を提案いたします。
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