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- 借地権を地主に買い取ってもらう際の注意点と断られた時の対処法
借地権を地主に買い取ってもらいたいと考えている方へ。原則として地主に法的な買取義務はないため、交渉が難航するケースも少なくありません。
しかし、正しい手順と相場観を理解すれば、円満に現金化することは十分に可能です。
この記事では、借地権割合に基づく買取価格の計算方法や具体的な交渉の流れ、更地価格との関係、税金や解体費用の注意点を網羅的に解説します。
さらに、地主に断られた場合の第三者への売却や借地非訟手続、専門業者の活用法も紹介。
トラブルを避け、あなたにとって最も有利な条件で借地権を手放すための正解が分かります。
【この記事のまとめ】
- 地主に買い取ってもらうのは可能。ただし“義務ではない”ので交渉設計がカギ
地主に買取義務はないため、合意が必要です。更新時期・相続・建替えなど「話しやすいタイミング」で、根拠を示して提案します。 - 価格の目安は“路線価×借地権割合”。建物・解体・税金で手取りが変わる
計算上の目安を基に交渉します。現況渡し/更地渡し、解体費用、税金、ローン残債の処理で最終手取りが大きく変わります。 - 断られても出口はある:第三者売却/借地非訟/等価交換・底地買取/専門業者
買取不可でも、第三者売却(承諾が必要)や借地非訟で進められます。所有権化や専門業者の活用も含め、状況に合うルートを選びます。
監修
宅地建物取引士 坂東裕
2013年より不動産業に従事。
2015年に宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーを取得。
地主交渉のスペシャリスト。借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
累積取引数は300件を超える。
趣味は不動産と料理。得意料理はイタリアン。
監修
宅地建物取引士 坂東裕
2013年より不動産業に従事。
2015年に宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーを取得。
地主交渉のスペシャリスト。借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
累積取引数は300件を超える。
趣味は不動産と料理。得意料理はイタリアン。
借地権を地主に買い取ってもらうことは可能か
借地権を手放したいと考えた際、土地の所有者である地主(底地人)に買い取ってもらうことは、最も理想的かつトラブルの少ない解決策の一つです。第三者へ売却する場合に必要となる地主の承諾や、それに伴う譲渡承諾料(名義書換料)の支払いが不要になるため、金銭的なメリットも大きくなります。
しかし、借地人側が「売りたい」と希望したからといって、必ずしも地主が応じてくれるわけではありません。まずは法的な権利関係と、実務上の可能性について正しく理解しておく必要があります。
地主に借地権の買取義務はあるのか
結論から申し上げますと、原則として地主に借地権を買い取る法的な義務はありません。
借地権の売買はあくまで双方の合意に基づく契約行為です。したがって、地主には「資金がない」「土地を利用する予定がない」などの理由で、買取を拒否する自由があります。契約期間の途中で借地人が借地権を不要と感じたとしても、地主に一方的に買取を強制することはできません。
ただし、例外として法律で定められた特定の条件下では、地主に対して建物を時価で買い取るよう請求できる権利、いわゆる「建物買取請求権」が発生するケースがあります。
建物買取請求権が行使できる主なケースは以下の通りです。
- 借地契約の期間が満了した際、契約が更新されなかった場合(借地借家法第13条)
- 借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失があり、地主の承諾を得て建物を再築したが、地主が期間満了時に更新を拒絶した場合
このように、期間満了による契約終了時などには地主に買取義務が生じる可能性がありますが、借地人の都合による中途解約や売却希望の段階では、地主との交渉によって合意を得る必要があるという点を理解しておきましょう。
無償返還と買い取ってもらう場合の違い
借地権を地主に返す方法には、対価を受け取って権利を譲渡する「買取(有償譲渡)」と、対価を求めずに契約を終了させる「無償返還」の2種類があります。
この2つは、金銭の授受だけでなく、建物の取り扱い(解体費用の負担)において天と地ほどの差があります。無償返還の場合、基本的には「原状回復義務」が生じるため、借地人が自費で建物を解体し、更地にして返還しなければなりません。つまり、手元にお金が残らないどころか、解体費用の分だけマイナスになるリスクがあります。
一方で地主に買い取ってもらう場合は、借地権そのものや建物に価値が認められれば、売却益を得ることができます。
また、建物付きで買い取ってもらう契約ができれば、解体費用を負担せずに済むという大きなメリットもあります。
両者の主な違いを整理すると以下のようになります。
借地権の買取と無償返還の比較
| 項目 | 地主に買い取ってもらう場合 | 無償返還する場合 |
|---|---|---|
| 金銭の授受 | 借地人が売却代金(対価)を受け取れる | 対価は発生しない(0円) |
| 建物の取り扱い | 建物ごと譲渡できる場合が多い (地主が利用する場合など) |
原則として更地にして返す必要がある |
| 解体費用 | 不要(または買取価格から調整) | 借地人の自己負担(数百万円かかることも) |
| 地主のメリット | 土地と建物の完全な所有権が手に入る | 費用をかけずに土地が戻ってくる |
このように、借地人にとっては「買い取ってもらう」方が圧倒的に有利です。そのため、最初から無償返還を申し出るのではなく、まずは借地権価格が付く有償での買取を打診し、粘り強く交渉することが重要です。
借地権を地主に買い取ってもらう際の相場と計算方法
借地権を地主に買い取ってもらう場合、一般的な不動産売買とは異なり、明確な定価が存在しません。しかし、交渉の基礎となる「理論上の価格」を算出する方法はあります。ここでは、公的な評価額を用いた計算式や、実際の取引現場で目安とされる相場観、そして建物部分の扱いについて詳しく解説します。
路線価と借地権割合を使った計算式
借地権の価格を算出する最も一般的な方法は、国税庁が公表している「路線価(相続税路線価)」と「借地権割合」を用いるものです。これは主に相続税の計算に使われる評価方法ですが、地主との交渉においても、客観的な指標として頻繁に利用されます。
基本的な計算式は以下の通りです。
借地権価格 = 自用地としての評価額(更地価格) × 借地権割合
ここで言う「自用地としての評価額」は、土地の面積に路線価を掛け合わせて算出します。路線価は、国税庁のウェブサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認することができます。
また、「借地権割合」とは、その土地の権利のうち、借地権が占める割合のことです。路線価図にはAからGまでのアルファベットが記載されており、地域ごとに以下のように割合が定められています。
| 記号 | 借地権割合 | 主な適用地域 |
|---|---|---|
| A | 90% | 繁華街・駅前商業地など |
| B | 80% | 商業地・高級住宅地など |
| C | 70% | 一般住宅地・商業地など |
| D | 60% | 一般住宅地など |
| E | 50% | 郊外住宅地など |
| F | 40% | 田園地帯・郊外など |
| G | 30% | 山間部・過疎地域など |
例えば、路線価による土地の評価額が5,000万円で、借地権割合がD(60%)の地域にある場合、計算上の借地権価格は「5,000万円 × 60% = 3,000万円」となります。
ただし、この価格はあくまで相続税評価額ベースの計算であり、実際に売買される「実勢価格(時価)」とは異なる場合が多い点に注意が必要です。
更地価格に対する借地権価格の目安
地主に借地権を買い取ってもらう場合、前述の路線価計算よりも、実際の市場価格(実勢価格)をベースに交渉が行われることが一般的です。通常、路線価は実勢価格の8割程度と言われています。
しかし、地主への売却においては、第三者に売却する場合と異なり、「借地権割合通りの金額」で買い取ってもらえるケースは稀です。なぜなら、地主側からすれば「急いで買い取る必要がない」ケースも多く、交渉力が地主側に傾きやすいためです。
実際の取引現場における、地主への買取相場の目安は以下のようになります。
| 計算のベース | 買取価格の目安(掛け目) | 備考 |
|---|---|---|
| 借地権割合による計算額 | 計算額の70% 〜 90%程度 | 路線価計算額をそのまま満額で買い取るケースは少ない |
| 実勢価格(更地相場) | 更地価格の40% 〜 50%程度 | 借地権割合が60〜70%の地域でも、換金性の低さから減額される傾向がある |
このように、地主に買い取ってもらう場合の相場は、理論上の借地権価格よりも低くなる傾向にあります。これは、借地権単体では担保価値が低く、買い手が限定されるという不動産の性質が影響しています。
ただし、地主がその土地の完全所有権(所有権の底地と借地権が合わさった状態)を取り戻してマンション建設や売却を計画している場合など、地主側に強い買取ニーズがある時は、相場よりも高い金額で交渉がまとまる可能性もあります。
建物の価値は買取価格に含まれるか
借地権の売却において、土地(権利)の価格と建物(家屋)の価格は分けて考える必要があります。原則として、建物の価値は借地権価格とは別に査定されますが、建物の築年数や状態によってその扱いは大きく異なります。
建物の評価については、主に以下の3つのパターンに分類されます。
1. 築浅で利用価値が高い建物の場合
建物が比較的新しく、リフォームなしでも十分に居住可能である場合、建物自体の評価額がプラスされます。この場合、建物の市場価値(または再調達価格から減価償却費を引いた額)が借地権価格に上乗せされる形で交渉が進みます。
2. 築年数が古いがまだ使用できる建物の場合
木造住宅で築20年を超えているような場合、不動産市場における建物の評価額はほぼゼロ(0円)とみなされることが一般的です。この場合、買取価格は実質的に「借地権の価格のみ」となります。
老朽化が激しく取り壊しが必要な建物の場合
建物が老朽化しており、住むことが困難である場合、地主側から「解体費用の負担」を求められることがあります。このケースでは、借地権の買取価格から建物の解体費用(取り壊し費用)が差し引かれることになります。
借地借家法には「建物買取請求権」という制度があり、借地契約の期間満了時に更新がない場合、借地人は地主に建物を時価で買い取るよう請求できる権利があります。しかし、契約期間中の合意による売買(中途解約による買取)においては、この権利は自動的には適用されず、あくまで当事者間の交渉によって価格が決定されます。
地主に借地権を買い取ってもらうための交渉手順
借地権を地主に買い取ってもらうための交渉は、長年の信頼関係を損なわないよう慎重に進める必要があります。第三者への売却とは異なり、承諾料が発生しないなどのメリットがありますが、価格や条件面で折り合いがつかないケースも少なくありません。
ここでは、円満に買取を実現するための具体的なステップと実務の流れを解説します。
売却の意思を伝える適切なタイミング
地主に対して唐突に「借地権を買い取ってほしい」と伝えると、資金の準備ができていないために断られたり、足元を見られて不当に低い価格を提示されたりするリスクがあります。交渉をスムーズに進めるためには、地主側も検討しやすいタイミングを見計らうことが重要です。
借地契約の更新時期や建物の建て替え時
最も交渉に入りやすいのは、借地契約の更新時期が近づいているタイミングです。更新には更新料の支払いが必要となるため、借地人としては「更新料を支払って住み続けるか、それとも借地権を手放すか」という選択を迫られる自然な機会となります。
また、建物が老朽化して建て替えが必要な時期も、解体費用や再建築費用をかける代わりに借地権を売却するという提案が受け入れられやすいタイミングと言えます。
相続が発生したタイミング
借地権者が亡くなり相続が発生した際も、売却の相談をする好機です。相続人がその土地に住む予定がない場合、維持管理費や地代の支払いが負担となるため、早めに処分したいという意向は地主にも理解されやすいでしょう。特に、地主側にとっても底地(地主が持つ土地の所有権)と借地権を一本化して完全な所有権にできるチャンスであるため、前向きに検討してもらえる可能性が高まります。
不動産鑑定士や専門業者による査定の活用
地主との交渉において最も難航しやすいのが「買取価格」の決定です。地主はできるだけ安く買いたいと考え、借地人はできるだけ高く売りたいと考えるのが通常です。感情的な対立を避け、論理的に交渉を進めるためには、客観的な根拠となる査定資料を用意する必要があります。
複数の不動産会社や専門家による査定の比較
まずは借地権の取り扱いに慣れた不動産会社に査定を依頼し、市場価格の目安を把握しましょう。地主との直接交渉であっても、第三者である専門家が算出した査定書を提示することで、提示価格に客観的な説得力を持たせることが可能になります。場合によっては、より精度の高い不動産鑑定士による鑑定評価書を用いることも検討します。
以下に、交渉に利用できる主な査定方法とその特徴を整理しました。
| 査定方法 | 特徴 | 費用目安 | 交渉での活用場面 |
|---|---|---|---|
| 机上査定(簡易査定) | 路線価や周辺事例を基にデータ上で算出する方法。 | 無料 | 交渉初期の概算把握や、相場観を掴むために利用。 |
| 訪問査定(実査定) | 現地調査を行い、建物の状況や接道条件などを加味して算出。 | 無料(不動産会社による) | 具体的な売却条件を詰める段階で、現実的な価格提示に使用。 |
| 不動産鑑定評価 | 国家資格を持つ不動産鑑定士が法的根拠に基づき評価。 | 数十万円~ | 価格交渉が難航した場合や、親族間売買などで税務上の証拠が必要な場合。 |
仲介業者を間に入れるメリット
地主との関係が良好であっても、金銭交渉となると角が立つことがあります。そのような場合は、借地権売買に精通した不動産仲介業者を間に挟むのが賢明です。仲介手数料は発生しますが、地主との感情的な対立を防ぎながら、適正な相場価格に基づいた条件交渉を代行してもらえるため、結果的に手元に残る金額が多くなるケースも珍しくありません。
売買契約書の作成と決済の流れ
価格や条件について地主と合意に至ったら、口約束で終わらせず、必ず正式な「借地権売買契約書」を作成します。借地権の売買は権利関係が複雑であるため、後々のトラブルを防ぐためにも、司法書士や宅地建物取引士などの専門家が作成した契約書を使用することが不可欠です。
売買契約書に記載すべき重要事項
契約書には、売買代金や手付金の額だけでなく、引渡しの時期、公租公課(固定資産税など)の精算方法、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の取り扱いなどを明記します。特に、現在の建物の中に残っている家具や不用品の処分をどちらの負担で行うか、更地にして返すのか現状有姿(そのまま)で引き渡すのかといった条件は、明確に文書化しておく必要があります。
決済と引き渡しの実務
契約締結後は、定められた期日に決済(残代金の受領)と引渡しを行います。借地権の売買では、土地の所有権移転登記ではなく、借地権付き建物の所有権移転登記を行うのが一般的です。もし借地権自体が登記されている場合は、その移転登記や抹消登記も必要になります。
決済当日は、司法書士立会いのもと、必要書類の確認と代金の授受を同時に行い、鍵の引き渡しをもって取引完了となります。住宅ローンが残っている場合は、金融機関との調整を行い、抵当権の抹消手続きも同日に行う必要があります。
借地権を地主に買い取ってもらう際の注意点
地主との間で借地権の売買価格や条件が大筋で合意できたとしても、最終的な契約締結に至るまでにはいくつかのハードルがあります。特に費用の負担区分や権利関係の整理を曖昧にしたまま進めると、手元に残る資金が想定より大幅に減ってしまったり、契約自体が白紙に戻ったりするリスクがあります。
ここでは、借地権を地主に買いとってもらう際に必ず確認すべき3つの重要な注意点を解説します。
建物の取り壊し費用は誰が負担するか明確にする
借地契約において、契約期間満了時や中途解約時に土地を返還する場合、原則として借地人は建物を解体し、土地を更地に戻す「原状回復義務」を負います。しかし、地主への借地権売却(買い取り)という形をとる場合、取り扱いは以下の2パターンに分かれます。
- 更地渡し:借地人が費用を負担して解体し、更地にしてから引き渡す
- 現況渡し(建物付き):建物が存在する状態でそのまま地主が買い取る
地主がその建物を賃貸物件として再利用したい場合や、二世帯住宅として親族を住まわせたい場合などは「現況渡し」となる可能性があります。一方で、地主が土地を別の用途に使いたい場合は「更地渡し」を求められることが一般的です。
ここで注意が必要なのは、解体費用をどちらが負担するかで、実質的な手取り額が数百万円単位で変わるという点です。木造住宅であっても解体費用は高騰傾向にあり、坪単価で数万円から十数万円かかることも珍しくありません。
【解体費用の負担と買取価格の関係】
| パターン | 費用の負担者 | 注意点 |
|---|---|---|
| 更地渡し | 借地人(売主) | 解体費用を先に持ち出す必要があるか、決済時に精算するかを取り決める必要がある。 |
| 現況渡し(解体前提) | 地主(買主) | 地主が後で解体する場合、その費用分があらかじめ買取価格から差し引かれる(減額される)ことが多い。 |
| 現況渡し(建物利用) | なし | 建物に価値があると判断されれば、借地権価格に建物価格が上乗せされる可能性がある。 |
交渉時には「買取価格」だけでなく、「解体工事の有無」と「費用負担の所在」をセットで話し合い、その内容を売買契約書に明記することがトラブル回避の鉄則です。
譲渡所得税などの税金が発生することを理解する
借地権を地主に売却して利益(譲渡益)が出た場合、それは「資産の譲渡」とみなされ、翌年の確定申告で譲渡所得税(所得税・住民税)を納める義務が発生します。売却代金がそのまま全額手元に残るわけではないため、税金分を考慮した資金計画が必要です。
譲渡所得税の税率は、その借地権(および建物)を所有していた期間によって大きく異なります。
【所有期間による譲渡所得税率の違い】
| 区分 | 所有期間 | 税率(所得税+住民税+復興特別所得税) |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
※所有期間は、売却した年の1月1日時点で判定されます。
ただし、売却した建物が自宅(居住用財産)であった場合、一定の要件を満たせば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用できる可能性があります。この特例が適用できれば、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できるため、税額を大幅に抑える、あるいはゼロにすることが可能です。
特例の適用を受けるには確定申告が必要です。詳細は国税庁のWebサイト等で最新の要件を確認してください。
参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁
その他、売買契約書に貼付する印紙税や、登記手続きにかかる登録免許税(通常は買主負担ですが合意による)、仲介業者を入れた場合の仲介手数料なども必要経費として発生します。
住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消
借地上の建物に住宅ローンが残っている場合、建物には金融機関による「抵当権」が設定されています。借地権の売却にあたっては、決済(引き渡し)の日までに住宅ローンを全額返済し、抵当権を抹消しなければなりません。地主は通常、権利関係がクリーンな状態での引き渡しを求めるからです。
住宅ローン残債がある場合の売却フローは以下のようになります。
- 残債額の確認:金融機関に連絡し、正確な完済金額を確認する。
- 売却価格との照らし合わせ:「地主からの買取価格」が「ローン残債」を上回っているか確認する。
- アンダーローン(買取価格 > 残債):
問題ありません。地主から受け取った代金でローンを一括返済し、残りが手元に残ります。 - オーバーローン(買取価格 < 残債):
売却代金だけではローンを完済できません。不足分を自己資金(貯金など)で補填する必要があります。
- アンダーローン(買取価格 > 残債):
- 金融機関との調整:決済日に地主からの入金と同時に一括返済を行い、司法書士が抵当権抹消登記を行う段取りを組みます。
もし自己資金を用意してもローンを完済できない場合は、金融機関の承諾を得て「任意売却」などの手段を検討することになりますが、地主への売却という文脈では交渉が難航する原因となります。
地主への打診を行う前に、まずはご自身のローン残高と資金状況を把握しておくことが重要です。
地主に買取を断られた時の対処法
地主(底地権者)に借地権の買取を打診しても、「資金がない」「先祖代々の土地を手放したくない」「自分で利用する予定がない」といった理由で断られるケースは珍しくありません。しかし、地主に断られたからといって、借地権の現金化を諦める必要はありません。
地主への売却が不調に終わった場合でも、法律に基づいた手続きや別の視点からの交渉によって、問題を解決できるルートが複数存在します。
ここでは、地主に買取を拒否されたあとに検討すべき具体的な4つの選択肢について解説します。
第三者への借地権売却を検討する
地主が買い取ってくれない場合、最も一般的な選択肢は借地権を第三者(個人や不動産会社)へ売却することです。借地権は財産権の一種であるため、地主以外の第三者に売却することが可能です。
ただし、第三者へ売却する際には、原則として地主の承諾(譲渡承諾)が必要となります。民法上、地主の承諾なしに借地権を勝手に譲渡すると、契約違反となり借地契約を解除されるリスクがあるため注意が必要です。
通常、地主に承諾をもらう対価として「譲渡承諾料(名義書換料)」を支払います。この承諾料の相場は、借地権価格の10%程度と言われています。地主が買取を拒否したとしても、「第三者に売るなら構わない」と承諾してくれるケースは多いため、まずは地主に対して第三者譲渡の許可を求める交渉を行いましょう。
借地非訟手続を利用して譲渡承諾を得る
もし地主が「自分でも買い取らない」かつ「第三者への売却も認めない」という頑なな態度をとる場合、裁判所の許可を得て売却を進める方法があります。これを「借地非訟手続(しゃくちひしょうてつづき)」と呼びます。
借地非訟手続では、裁判所が地主に代わって「地主の承諾に代わる許可」を与えます。この手続きを利用することで、地主の同意が得られなくても、法的に正当な手続きとして第三者への売却が可能になります。
また、この手続きにおいて重要なのが、地主が持つ「介入権(優先譲受権)」という権利です。裁判所が売却許可を出そうとする際、地主は「その条件なら、第三者ではなく自分が買い取る」と主張することができます。
結果として、当初は買取を拒否していた地主が、裁判所の決定価格で買い取ることになるケースも少なくありません。
等価交換や底地の買取を提案する
借地権単体での売却が難しい場合、視点を変えて「土地の所有権そのもの」を整理する提案も有効です。
具体的には以下の2つのアプローチがあります。
等価交換(一部交換)
借地人の持つ「借地権」の一部と、地主の持つ「底地(所有権)」の一部を交換する方法です。例えば、広い敷地の借地権を持っている場合、土地を半分に分筆し、片方を地主の完全所有権(更地)、もう片方を借地人の完全所有権(更地)にします。
これにより、借地関係が解消され、お互いが完全な所有権を持つ土地を手に入れることができます。
所有権となれば売却のハードルは大幅に下がり、資産価値も向上します。
底地を買い取る
資金に余裕がある場合は、逆に地主から底地(土地の所有権)を買い取るという選択肢もあります。地主が「借地権を買い取る資金はないが、土地を現金化したい」と考えている場合、交渉が成立する可能性があります。底地を買い取って完全な所有権(所有権付きの土地建物)にすれば、通常の不動産として高値で売却することが容易になります。
借地権の買取専門業者に相談する
地主との交渉が難航している、あるいは地主との人間関係が悪化して直接話すのが精神的に負担である場合は、借地権の買取を専門とする不動産業者に相談するのが最もスムーズな解決策となります。
専門業者は、地主との交渉ノウハウを豊富に持っており、以下のようなメリットがあります。
- 現状のままで買取可能:建物の解体や測量が未完了でも買い取ってくれる場合が多い。
- 交渉の代行:地主への譲渡承諾の取得交渉を業者が代行してくれる。
- スピード決済:一般の買い手を探すよりも現金化までの期間が短い。
特に、地主が感情的になって話し合いにならない場合、プロである専門業者が間に入ることで、法的な根拠に基づいた冷静な交渉が可能となり、話がまとまるケースが多く見られます。
それぞれの対処法における特徴を整理すると以下のようになります。
地主に断られた際の対処法比較
| 対処法 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 第三者への売却 | 市場価格に近い金額で売れる可能性がある | 地主の承諾と承諾料が必要。 買い手が見つかるまで時間がかかる |
| 借地非訟手続 | 地主の同意がなくても売却が可能になる | 弁護士費用や裁判所の費用がかかる。 解決まで半年〜1年程度の期間を要する |
| 等価交換・底地買取 | 完全な所有権となり資産価値が上がる。 借地関係を完全に解消できる |
土地の分筆費用や購入資金が必要。 地主の合意が必須 |
| 専門業者による買取 | 地主との交渉をお任せできる。 現金化までのスピードが早い |
一般の仲介売却に比べて買取価格が安くなる傾向がある |
まとめ
借地権を地主に買い取ってもらう際、地主に法的買取義務はないため、双方の合意形成に向けた円滑な交渉が重要となります。買取価格は路線価や借地権割合を目安に決定されますが、建物の取り壊し費用の負担区分や譲渡所得税についても事前に確認しておきましょう。
もし地主に断られた場合は、借地非訟手続を利用した第三者への売却や等価交換、借地権専門業者への相談を検討するのが有効な手段です。
権利関係が複雑になりやすいため、無理に個人で解決しようとせず、早めに不動産鑑定士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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