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- 借地権の譲渡承諾料について
不動産取引の中でも、特に複雑な要素を含むのが借地権の譲渡です。その中でも「借地権譲渡承諾料」は、多くの地主と借地人の間で議論となるポイントの一つです。
本記事では、借地人が借地権を第三者に譲渡する際、地主の承諾を得るために支払う金銭的な対価である譲渡承諾料について、支払いが必要なケースや費用相場などを見ていきます。
借地権の譲渡承諾料とは

借地権の譲渡承諾料は、借地人が自身の借地権を第三者に譲渡する際に、地主(土地所有者)に支払う金銭的な対価を指します。借地借家法では、借地権の譲渡には地主の承諾が必要と定められており、この承諾を得るために支払われるのが譲渡承諾料です。これは、地主が新たな借地人を受け入れることへの同意の対価として認められた慣習的な制度となっています。
実務上、譲渡承諾料は借地権価格の10%から30%程度が一般的ですが、この金額は地域性や個別の事情により大きく変動することがあります。
なお、地主が承諾を与える義務はありませんが、正当な理由なく承諾を拒否することは権利の濫用とみなされる可能性があることから、合理的な範囲での譲渡承諾料の設定が求められています。
借地権の譲渡承諾料は誰が払う?

借地権の譲渡承諾料は、原則として借地権を譲渡しようとする借地人が地主に対して支払います。ただし、実務上では、借地権の譲渡を受ける譲受人との間で、承諾料の負担について交渉し、分担して支払うケースや、譲受人が全額を負担するケースも見られます。こうしたケースの場合、借地権の譲渡価格に承諾料相当額を上乗せするなどの方法で調整されることが一般的です。
最終的な支払いの形態や金額は、借地人と譲受人の交渉により決定されますが、地主との関係ではあくまでも借地人に支払い義務があります。借地権譲渡の承諾を求める主体が借地人であることから、承諾料の支払い義務も借地人にあるという考え方に基づいているからです。
なお、実際の取引では、仲介業者を通じて承諾料の支払いが行われることも多く見られます。
借地権の譲渡承諾料の費用相場
借地権の譲渡承諾料の相場は、一般的に借地権価格の10%程度とされていますが、これは目安であり、実際の金額は様々な要因により変動します。
都心部や商業地域では20%から30%となるケースもあれば、郊外や住宅地では5%程度に留まることもあります。この違いは、土地の場所や用途、周辺の取引事例、不動産市況などの影響を受けてのことです。
また、借地権の残存期間や建物の状態、借地条件なども承諾料の算定に影響を与える要素となります。特に、定期借地権の場合は、残存期間が短いほど承諾料が低くなる傾向にあります。
なお、承諾料の金額は、地主と借地人の交渉により最終的に決定されますが、あまりに高額な承諾料の要求は権利濫用として認められない可能性があるため、地域の相場を考慮した合理的な金額設定が求められます。
借地権の譲渡承諾料を支払うタイミング

借地権の譲渡承諾料の支払いタイミングは、一般的に売買契約締結後、実際の借地権譲渡(所有権移転登記)の前に行われます。具体的には、売主である借地人が地主から譲渡承諾を得た後、その承諾書の発行と引き換えに譲渡承諾料を支払うのが通常の流れです。この支払いは、売買契約の決済日までに完了している必要があります。
実務上は、不動産仲介会社が売買契約の決済時に、売買代金から譲渡承諾料を差し引いて地主に直接支払うケースも多く見られます。
また買主との協議により、譲渡承諾料を売買価格に上乗せして買主が負担したり、売主と買主で分担したりするケースもあります。ただし地主との関係では、あくまでも借地人である売主に支払い義務があるため、支払い時期の調整は慎重に行う必要があります。
借地権の譲渡承諾料は支払う必要がある?

譲渡承諾料の支払いは、法律上では明確な義務として定められていません。これはあくまでも借地人と地主との間の慣習として発展してきた実務上の取り決めです。ただし、多くの場合、地主から借地権譲渡の承諾を得るための実質的な条件として求められるため、円滑な取引を進める上では支払いに応じることが一般的となっています。
もし地主から相場を大きく超える高額な譲渡承諾料を請求されたり、不当に承諾料を要求されたりした場合は、支払いを拒否することも可能です。そのような場合、借地非訟という裁判手続きを利用して、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めることができます。
ただし、裁判所が承諾料の支払いを条件として許可を与えることもあるため、完全に支払いを避けられるわけではありません。実務上は、不動産の専門家に相談しながら、地域の相場を踏まえた適正な金額での合意を目指すことが望ましいでしょう。
支払いが必要なケースとそうでないケースについて、以下でそれぞれ解説していきます。
借地権の譲渡承諾料の支払いが必要なケース
借地権の譲渡承諾料の支払いが必要なケースは、以下の3つです。
- 借地権を売却する場合
- 借地権を贈与する場合
- 借地権を遺贈する場合
借地権を売却する場合
借地権を売却する場合は、譲渡承諾料の支払いが必要となるのが一般的です。借地人が借地権を第三者に売却する際には、地主の承諾が必要となり、その承諾を得るための対価として譲渡承諾料が発生します。売買による譲渡は最も一般的なケースで、借地権価格の10%程度が相場とされています。
借地権を贈与する場合
贈与の場合も、売却と同様に譲渡承諾料の支払いが必要です。たとえ金銭の授受を伴わない贈与であっても、借地権の権利が移転する以上、地主の承諾が必要となるためです。親族や友人などへの無償譲渡であっても、名義の書き換えには地主の許可が必要となり、その際に譲渡承諾料が必要となります。
借地権を遺贈する場合
遺贈の場合も、譲渡承諾料が発生する可能性があります。遺言による借地権の譲渡は、相続とは異なり、新たな権利移転として扱われるため、地主の承諾が必要となり、それに伴って譲渡承諾料が求められます。ただし、相続の場合は通常、譲渡承諾料は不要なので、遺贈と相続は区別して考える必要があります。
借地権の譲渡承諾料の支払いが不要なケース
借地権の譲渡承諾料の支払いが不要なケースは、以下の2つです。
- 借地権が地上権の場合
- 相続で借地権を取得した場合
借地権が地上権の場合
借地権が地上権の場合、譲渡承諾料は不要です。これは地上権が物権として認められており、土地を自由に使用できる強い権利だからです。地上権の場合は、建物の売却に際して借地権の譲渡(物権移転)が発生しないため、地主の許可や承諾料は原則として必要ありません。
地上権は賃借権と比べて権利が強く、より自由な権利移転が認められているためです。
相続で借地権を取得した場合
相続で借地権を取得した場合も、通常であれば譲渡承諾料は不要です。相続による権利の移転は、法律上当然に発生する権利の承継であり、新たな権利の設定や移転には該当しないためです。相続の場合は契約内容および賃借人の立場もそのまま引き継がれ、地主の承諾を必要としないことから、承諾料も発生しません。
ただし、借地権の契約内容によっては、地主への通知や届出が必要となる場合がありますので、契約書の確認は重要です。
明らかに相場よりも高い借地権の譲渡承諾料を請求された場合は専門家へ相談しよう

明らかに相場よりも高額な譲渡承諾料を請求された場合、専門家へ相談するのがおすすめです。専門家は、地主の要求が権利の濫用に該当するかどうかを判断し、必要に応じて借地非訟という法的手続きを通じて、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めることができます。
また、専門家は豊富な交渉経験を持っているため、地主との適切な交渉方法や、地域の相場に基づいた適正な金額の提示など、効果的な解決策を提案可能です。
さらに、不動産会社や弁護士などの専門家が介入することで、感情的になりがちな交渉を客観的な立場から進められるので、地主との良好な関係を壊さずに合理的な金額で合意できる可能性が高まります。
地主が譲渡を承諾料してくれない場合の対処法

地主が合理的な理由なく借地権の譲渡を承諾しない場合、借地非訟という裁判手続きを利用して解決を図ることができます。借地非訟とは、裁判所に申立てを行い、地主の承諾に代わる許可を得る手続きです。裁判所が「地主に正当な拒否理由がない」と判断した場合、地主の承諾がなくても第三者への譲渡が可能となります。
ただし、この借地非訟の申立てには、譲渡を受ける第三者が既に決まっていることが条件となり、また裁判所が定めた承諾料を地主に支払うことが前提となります。
実務上は、まず不動産会社や弁護士などの専門家に相談し、地主との交渉を依頼することが好ましいです。専門家による交渉でも解決できない場合に、最終手段として借地非訟を検討するのが一般的です。時間と費用はかかるものの、法的な解決を図ることができます。
まとめ
借地権の譲渡承諾料は、借地人が借地権を第三者に譲渡する際に地主へ支払う金銭的対価です。法律上の義務ではありませんが、慣習として定着している制度です。一般的な相場は借地権価格の10%程度ですが、都心部や郊外など地域によって変動します。支払いは売買契約締結後、所有権移転登記前に行われ、原則として借地人が負担します。
支払いが必要なケースには売却・贈与・遺贈があり、地上権の場合や相続の場合は不要です。地主から高額な承諾料を請求された場合や承諾を得られない場合は、まず専門家に相談してみましょう。それでも解決が見えないときは、借地非訟という裁判手続きを踏むことになります。ただし、借地非訟の場合でも裁判所が定めた承諾料の支払いが必要です。
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