借地権は贈与できる?
贈与税の計算方法をわかりやすく解説

借地権の贈与は、贈与税の有無や計算方法、手続きの複雑さから多くの方が悩まれる問題です。特に建物の名義変更や権利金の支払いなど、さまざまな場面で贈与税が発生する可能性があります。

本記事では、借地権の贈与が可能かどうかの基本的な解説から、贈与税がかかるケースとかからないケース、具体的な贈与税の計算方法まで、詳しく解説します。さらに、贈与時の地主の承諾や各種費用など、重要なポイントもわかりやすく説明しています。借地権の贈与をお考えの方や、贈与税について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

借地権は贈与できる!

借地権とは、借地借家法または旧借地法に基づいて、建物を建てることを目的として土地を借りる権利のことです。この権利は、地主と賃貸借契約を結び、地代を支払うことで発生します。借地権は財産権の一つとして認められており、他者への贈与が可能です。

ただし、贈与を行う際には注意が必要です。建物の名義変更や権利金の支払いなど、さまざまな場面で贈与税が発生する可能性があります。一方で、正しい手続きを踏めば贈与税がかからないケースもあります。具体的にどのような場合に贈与税がかかるのか、詳しく解説していきます。

借地権に贈与税がかかるケース

借地権の贈与において、一見すると贈与とは思えないような状況でも贈与税が発生することがあります。建物の名義変更や親の借地への建物建築、権利金の支払い方法、底地の買い取りなど、さまざまなケースで贈与税の対象となることがあるのです。

以下、5つのケースについて詳しく解説します。

借地上の建物の名義を変更したとき

借地上の建物の名義を変更すると、借地権の贈与とみなされ、贈与税が発生します。これは、借地権の登記には地主の協力が必要ないため、建物の登記を通じて借地権を主張できる仕組みになっているためです。

相続以外の理由で建物の登記上の名義を借主から他者(子供や親など)に変更すると、借地権も同時に贈与されたとみなされ、贈与税の対象となります。

権利金を支払わず地代のみを支払うとき

権利金の支払いなしに地代のみを支払う場合、贈与税が発生する可能性があります。これは、借地権の転貸では通常、権利金の支払いが慣行となっている地域が多いためです。たとえば、更地価格5,000万円、借地権割合60%の土地で権利金を支払わずに転貸した場合、3,000万円分の贈与があったとみなされ、贈与税が課せられます。

借地権の底地部分を地主から買い取ったとき

借地人の子が地主から底地部分を買い取り、親から子への地代支払いが発生しない場合、贈与税の対象となります。これは、地代の支払いがない場合、土地の使用貸借となり、借地権が子に無償で譲渡されたとみなされるためです。子が新しい地主となった時点で、親の借地権が子に贈与されたと解釈され、贈与税が課せられます。

親の借地に子が家を建てたとき

親の借地に子が家を建てた場合、親から子への借地権の贈与とみなされ、贈与税の対象となります。これは、親の借地権を子が行使したことになるためです。建物を贈与する場合と比べて贈与の意識が薄くなりやすいため、特に注意が必要です。

借地権を親族間で売買したとき

親族間で借地権を売買する場合、適正価格よりも安価で取引すると贈与税が発生します。これは、贈与税を回避する目的での安価な売買と判断されるためです。その差額分が贈与とみなされ、贈与税の対象となります。そのため、親族間での売買の際は、適正な価格での取引を心がける必要があります。

借地権に贈与税がかからないケース

借地権の贈与において、適切な手続きを行えば贈与税を回避できるケースがあります。主なものとして、相場に沿った権利金と地代を支払って賃貸借契約を結ぶ場合や、「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出する場合、また「借地人の地位に変更がない旨の申出書」を提出する場合などがあります。

これらの書類を税務署に提出することで、贈与税が課税されないよう正式に認められます。​​

借地権贈与税の計算方法

借地権の贈与税を計算する際は、まず贈与財産価額を算出し、基礎控除額を差し引いて課税対象額を決定します。その後、適用される税率をかけ合わせ、控除額を差し引くことで最終的な贈与税額が確定します。計算方法は複雑ですが、順を追って解説していきます。

贈与財産価額を算出

贈与財産価額の計算には、路線価方式を使用します。具体的には、土地の評価額に借地権割合を掛けて算出します。例えば、土地面積100平方メートル、路線価20万円、借地権割合80%の場合、「100平方メートル×20万円×80%=1,600万円」となります。

なお、建物の名義が変更されている場合は、建物の評価額も加算する必要があります。

課税対象額を計算

贈与財産価額から基礎控除額110万円を差し引いた金額が課税対象額となります。例えば、贈与財産価額が2,000万円の場合、「2,000万円-110万円=1,890万円」が課税対象額となります。この金額に対して、適用される税率と控除額に基づいて贈与税が計算されます。

贈与税の課税方法

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。暦年課税は、1年間(1月1日から12月31日)に贈与を受けた財産の合計額に対して課税する一般的な方法です。一方、相続時精算課税は、60歳以上の親から18歳以上の子や孫への贈与に適用可能で、2,500万円までの特別控除を受けられ、超過分には一律20%の税率が適用される特例的な課税方法です。

税率をかけ合わせた後、控除額を除く

課税対象額に税率をかけ合わせ、控除額を差し引いて最終的な贈与税額を算出します。税率は、一般税率と特例税率の2種類が設定されており、贈与を受けた人と贈与した人のそれぞれが特定の条件を満たしていれば、特例税率を適用することができます。

特定の条件とは、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳(令和4年3月31日以前の贈与は20歳)以上の受贈者が、父母、祖父母など直系尊属から財産を贈与されたときです。それぞれの税率と控除額について、以下の表にまとめました。​

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課税贈与財産価額 一般税率 一般税率における控除額 特例税率 特例税率における控除額
200万円以下 10% - 10% -
300万円以下 15% 10万円 10% 10万円
400万円以下 20% 25万円 15% 10万円
600万円以下 30% 65万円 20% 30万円
1,000万円以下 40% 125万円 30% 90万円
1,500万円以下 45% 175万円 40% 190万円
3,000万円以下 50% 250万円 45% 265万円
4,500万円以下 55% 400万円 50% 415万円
4,500万円超 55% 400万円 55% 640万円

借地権を贈与する場合のポイント

借地権の贈与には、税金以外にも重要な注意点があります。特に、地主の承諾を得ることと、贈与税以外の諸費用が発生することは見落としがちな重要なポイントです。これらの手続きや費用を事前に把握し、適切に対応することで、スムーズな贈与が可能となります。

基本的に贈与は地主の承諾が必要

借地権の贈与では、原則として地主の承諾が必要です。これは相続の場合と大きく異なる点です。相続によって借地人が変わる場合は地主の承諾は不要ですが、贈与の場合は地主の承諾なく勝手に親族名義に移転すると、借地権の消滅を地主から主張される可能性があります。

また、遺贈や死因贈与の場合でも地主の承諾が必要となります。登記や引き渡しの前に承諾を取り付けることが重要であり、早めの対応をおすすめします。

贈与する際には贈与税以外にも費用がかかる

借地権の贈与では、贈与税以外にもさまざまな費用が発生します。具体的には、登録免許税(評価額の2%)や名義書換料(地主への承諾料)が必要です。また、登記事項証明書や印鑑証明などの各種証明書の発行手数料、印紙代なども必要で、合計で2,000~3,000円程度かかります。

さらに、手続きを司法書士に依頼する場合は、別途司法書士に支払う報酬が発生します。これらの諸費用を事前に把握し、準備しておくことが円滑な贈与手続きのポイントとなります。

まとめ

借地権は贈与可能ですが、さまざまなケースで贈与税が発生する可能性があります。建物の名義変更や権利金の支払い方法、底地の買い取りなど、一見して贈与と思えない場合でも贈与税の対象となることがあります。

また、贈与税の計算は複雑で、地主の承諾や諸費用の準備も必要です。借地権の贈与を検討する際は、専門家に相談しながら、手続きや費用を十分に理解した上で進めましょう。

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