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近年、都市部の再開発が進む中、借地権と立ち退き料をめぐる問題が注目されて います。地主と借地人の間で発生する立ち退き交渉は、時として複雑な法的問題へと発展することも少なくありません。借地権者の権利を守りながら、適切な補償額を決定するためには、どのような要素を考慮する必要があるのでしょうか。
本記事では、借地権における立ち退き料の相場や、立ち退き料が不要なケースについて解説していきます。
借地権のある土地の立ち退き料の相場

借地権の立ち退き料については、実務上で一律の相場や明確な計算式は存在しません。
立ち退き料は、地主の土地使用の必要性と借地人側の事情を総合的に考慮して個別に判断されます。一般的な算定方法としては、まず借地権価格(更地価格×借地権割合)を基準とし、これに引越し費用や仮住まい費用などの実費を加算する方式が採用されています。
事業用借地の場合は、営業補償として移転先の内装費や営業休止期間中の逸失利益なども考慮されます。
ただし、どの項目をどの程度考慮するかは、借地人の利用状況や地主側の立ち退き請求の正当性の強さによって変動します。そのため、立退料の具体的な金額は、当事者間の交渉や裁判所の判断に委ねられることが一般的です。
そもそも借地権とは

借地権とは、他人の土地を借りて建物を所有するための権利であり、借地借家法によって保護されています。ただし、単に土地を借りているだけでは借地権は発生せず、その土地上に建物を所有していることが要件となります。
例えば駐車場や資材置き場として土地を借りているだけでは、借地権は認められません。借地権には地上権と賃借権の2種類があり、実務上は賃借権をベースとするものが大半です。
借地借家法では借地人の権利が強く保護されており、正当な事由がない限り地主は契約更新を拒否できず、借地人の同意なく一方的に契約を解除することもできないという特徴があります。
地主都合で借地権のある土地の立ち退きを求められる条件

地主都合で借地権のある土地の立ち退きを求められる条件は、基本的に以下の2つです。
● 更新のタイミング
● 正当事由がある
更新のタイミング
借地借家法により、借地人は強力な権利保護を受けているため、地主都合での立ち退き要求は原則として契約更新時期にしかできません。更新時期以外での立ち退き請求は、ほぼ認められないと考えてよいでしょう。
契約更新の時期は、借地借家法で定められた最低期間に基づき、一般的な借地権では初回が30年以上、1回目の更新後は20年以上、2回目以降は10年以上となります。ただし、平成4年8月以前の契約では旧借地法が適用され、建物の種類によって更新期間が異なります。
一度更新時期を逃すと次の機会まで最短でも10年待つ必要があるため、地主側は更新時期を慎重に見極める必要があります。
正当事由がある
地主都合で借地権のある土地の立ち退きを求めるには、借地借家法で定められた「正当事由」の存在が必要不可欠です。正当事由は、地主と借地人双方の土地利用の必要性、従前の契約経過、土地の利用状況、立退料などの財産上の給付について総合的に判断されます。
例えば地主側に土地使用の切実な必要性があり、借地人側に代替地があるような場合や、借地上の建物が老朽化して土地の有効利用が図られていないような場合は、正当事由が認められやすくなります。
ただし、単に地主が土地を有効活用したいという程度では認められず、また立ち退き料を支払う意思があるだけでも十分とはいえません。
正当事由の詳細は、次の章で解説しています。
地主都合で借地権のある土地の立ち退きを求められる正当事由

借地借家法では、地主都合による立ち退き請求には正当事由が必要です。ただし、この立ち退き請求は契約更新時にしか行えません。そのため地主は、契約期間の途中で立ち退きを求めることはできず、次回の契約更新時期を待つ必要があります。契約更新の時期を逃してしまうと、次の更新時期まで立ち退きを求めることができなくなってしまいます。
正当事由として認められるケースとしては、以下の4つです。
● 地主が土地の使用を必要とする事情がある
● 借地に関する従前の経過
● 土地の利用状況
● 地主が立ち退き条件として立ち退き料の支払いを申し出ている
地主が土地の使用を必要とする事情がある
地主が土地を必要とする具体的で切実な事情がある場合、立ち退きを求める正当事由として認められる可能性が高いです。例えば、地主自身や親族が居住するために家を建てる必要がある場合や、地主の会社が事務所や工場を拡張するために土地が必要な場合などが該当します。
ただし、地主が他に利用可能な土地を所有している場合や、土地利用の計画が具体的でない場合は、正当事由として認められにくくなります。また、単に土地をより高い賃料で貸したいという理由や、漠然とした再開発計画のためという理由では、正当事由としては不十分です。
つまり、地主側の土地使用の必要性は、具体的かつ 代替がきかず、 真にやむを得ないものである必要があります。
借地に関する従前の経過
地主が借地人に立ち退きを求める場合の「正当事由」の一つに、「借地に関する従前の経過」が挙げられます。少々わかりづらい表現ですが、 過去に借地人との間でどのようなやり取りがあり、借地がどのように利用されてきたのか、といった過去の 経緯が、立ち退きを求めるに足る正当な理由となる可能性があるということです。
例えば、借地人が借地契約の重要な条項を繰り返し違反していたり、借地を目的外に利用していたりする場合、 地主が土地を有効に利用することを妨げていると判断され、立ち退きを認める根拠となる可能性があります。
また、借地人が地主に多額の賃料滞納を繰り返していたり、周辺住民とのトラブルを頻繁に起こしていたりする場合も、同様に「借地に関する従前の経過」として考慮され、立ち退きの正当性が認められるケースがあります。
ただし、「借地に関する従前の経過」が必ずしも立ち退きの理由になるとは限りません。個々のケースにおける事情を総合的に判断し、借地人との間の公平なバランスを考慮して、裁判所が判断を下します。
土地の利用状況
土地の利用状況は、借地上の建物の用途や利用効率が近隣の土地利用状況と比較して適切かどうかを評価する観点から、立ち退きの正当事由として重要視されます。
例えば、周辺が高層ビル街であるにもかかわらず借地上の建物が平屋建てである場合や、建物が著しく老朽化している場合は、土地の有効活用がなされていないとして地主側に有利な判断材料となります。逆に、借地上の建物が周辺と調和した高層建築物で、なおかつ建物の耐用年数が十分に残っている場合は、借地人側の正当性が認められやすいです。
ただし、地主側は単に土地の有効活用を主張するだけでなく、立ち退き後の具体的な土地利用計画を示す必要があります。
地主が立ち退き条件として立ち退き料の支払いを申し出ている
地主による立退料の支払い申し出は、借地人が立ち退くことで被る経済的損失を補償する意思表示として、正当事由の判断材料となります。ただし、立退料の提示は補助的な要素に過ぎず、これだけで立ち退きの正当性が認められるわけではありません。
立退料の金額が妥当なものであることはもちろん、地主側の土地使用の必要性や借地人側の事情など、他の要素と総合的に判断されます。
例えば、適正な立退料に加えて代替地の提供や引越し費用の負担を申し出るなど、借地人の経済的負担を十分に配慮した提案がなされている場合は、より強い正当事由として評価されます。重要なのは、立退料が借地人の実質的な損失を適切に補填できる水準であることです。
借地権のある土地の立ち退きにあたり立ち退き料が不要なケース

借地権のある土地の立ち退きであっても、立退料が不要となるケースが存在します。具体的には、借地契約の期間満了による立ち退きの場合や、借地人に重大な契約違反がある場合が該当します。
また、借地上に建物が建てられていない場合や、借地人が自主的に立ち退きを承諾した場合も立退料は不要です。特に定期借地権の場合は、契約期間満了時の明け渡しが前提となっているため、立退料を支払う必要はありません。
これらのケースで立退料が不要となる理由は、借地人の権利が制限されているか、あるいは借地人側に契約違反などの帰責事由があるためです。つまり、借地人の正当な権利を保護する必要性が低い場合には、立退料による補償が不要となるのです。
借主が立ち退きを拒否できるケース

借地借家法では、借地人の権利が手厚く保護されており、一定の条件下では立ち退きを拒否できます。例えば、地主側に土地使用の十分な必要性がない一方で、借地人側に切実な利用必要性がある場合は、立退料が提示されても立ち退きを拒否できます。
具体的には、借地上で長年営業を続けている店舗や、高齢者・病気などの事情で転居が困難な場合などが該当します。これは契約の安定性を確保し、借地人の生活や事業の継続を保護する趣旨によるものです。
また、建物の改修や修繕投資を行っている場合は、その投資を保護するため、建物の明渡し請求 を行使して立ち退きを拒否することも可能です。
立ち退きの交渉をする際のポイント

立ち退き交渉は、借主と地主双方にとって非常にデリケートな問題です。スムーズな交渉を進めるために、それぞれの立場からどのような点に注意すべきか、具体的なポイントを解説します。
【借主】立ち退きの交渉をする際のポイント
借地人が立ち退き交渉を有利に進めるためには、まず借地借家法における自身の権利を正確に理解することが重要です。特に契約期間や更新の有無、建物の改修状況などは、交渉の重要な要素となります。
また、契約書や家賃の領収書、改修工事の領収書などの証拠を適切に保管し、交渉内容は必ず記録として残すことも大切です。さらに、弁護士や不動産鑑定士などの専門家に相談して法的アドバイスを受けることで、より戦略的な交渉が可能になります。
単に立ち退きを拒否するだけでなく、賃料増額や転居費用の負担など、建設的な代替案を提示することも、交渉を円滑に進める有効な手段となります。
【借主】立ち退きの交渉をする際のポイント
地主側から立ち退き交渉を進める際は、まず契約更新時期を正確に把握し、早い段階から交渉を開始することが重要です。立ち退きを求める正当な理由を明確にし、土地の具体的な利用計画や適切な立退料の提示など、借地人が納得できる条件を用意する必要があります。
特に立退料については、借地権価格を基準に、引越し費用や事業補償などを考慮した妥当な金額を提示することが交渉を円滑に進める鍵となります。また、交渉内容は必ず記録に残し、合意に至った場合は弁護士に依頼して詳細な条件を明記した合意書を作成することが望ましいです。
交渉が難航する可能性も考慮し、早めに不動産専門の弁護士に相談することをおすすめします。v
まとめ
近年、都市部の再開発に伴い、借地権と立ち退き料をめぐる問題が注目されています。借地権は他人の土地に建物を所有する権利で、借地借家法により強く保護されています。地主が立ち退きを求めるには、契約更新時期であることと正当事由の存在が必要です。
正当事由としては、地主の土地使用の必要性や、借地の利用状況、立退料の提示などが総合的に判断されます。立退料の相場は一律ではなく、借地権価格を基準に個別の事情を考慮して決定されます。交渉では、地主側は早期から正当な理由と具体的な計画を示し、借地人側は法的権利を理解した上で、専門家に相談しながら進めることが重要です。
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