借地権と抵当権はどちらが優先される?抵当権を設定できない理由も解説

借地権と抵当権には、優先順位をめぐる法的な問題が生じることがあります。土地を担保に借り入れを行う際や、借地上の建物に抵当権を設定する場合には、両者の権利関係を理解しておくことが重要です。
土地所有者や借地人の方にとって、土地に関わる権利について知っておくことは将来のトラブル防止につながります。金融機関から融資を受ける際の担保設定についても、あらかじめ知識を持っていることで安心して手続きを進められます。

【この記事のまとめ】

  • 借地権と抵当権の優先順位は、どちらが先に「対抗要件」を備えたかで決まります。
    借地上の建物登記が先なら借地権が、土地の抵当権設定が先なら抵当権が優先されます。
  • 先に設定された抵当権が優先されると、地主の債務不履行で抵当権が実行されます。
    借地人は土地を明け渡し、建物の撤去も求められる可能性があります。
  • 借地権そのものには抵当権を設定できませんが、借地上の建物には可能です。
    金融機関は地主の承諾を求めることが多く、借地権を担保とする融資は一般的に困難です。

監修
宅地建物取引士 坂東裕

2013年より不動産業に従事。
2015年に宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーを取得。

地主交渉のスペシャリスト。借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
累積取引数は300件を超える。

趣味は不動産と料理。得意料理はイタリアン。

監修
宅地建物取引士 坂東裕

2013年より不動産業に従事。
2015年に宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーを取得。

地主交渉のスペシャリスト。借地権にとどまらず、事故物件、収益ビル、倉庫、アパート等、各種不動産売買に精通している。
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趣味は不動産と料理。得意料理はイタリアン。

借地権と抵当権のどちらが優先されるかは対抗要件によって異なる

借地権と抵当権には、権利の優先順位が存在します。両者は対抗関係にあり、どちらが優先されるかは対抗要件を備えた時期によって決まります。

借地権とは

借地権は、建物の所有を目的として土地を借りる権利です。借地人は地主との契約に基づき、地代を支払って土地を使用することができます。借地権には普通借地権と定期借地権があり、いずれも借地借家法によって借地人の権利が保護されています。

借地上の建物を登記することで、借地権の対抗要件を備えることができ、第三者に対して借地権を主張することが可能になります。

抵当権とは

抵当権は、債務者が返済できなくなった場合に、担保物件を競売にかけて債権を回収できる権利です。住宅ローンなどで金融機関が設定することが多く、不動産登記によって対抗要件を備えます。

抵当権者は、債務不履行があった際に担保不動産を競売することで、優先的に債権を回収することができます。

対抗要件とは

対抗要件とは、当事者間の権利関係を第三者に対して主張するために必要な要件です。借地権の場合は借地上の建物の登記、抵当権の場合は抵当権設定登記が対抗要件となります。

借地権が優先されるケース

借地人が土地に建物を建てて登記を完了した後に、地主が土地に抵当権を設定した場合、借地権が優先されます。抵当権者は借地権付きの土地を担保として取得したとみなされるためです。

借地権の優先が認められる理由は、借地人の生活や事業の基盤を保護する必要性にあります。建物を建てて生活や事業を始めた後に、地主の都合で立退きを迫られるのは借地人にとって大きな不利益となるからです。
借地権が優先される場合、抵当権が実行されて土地が競売にかけられたとしても、借地人は土地を明け渡す必要はありません。新しく土地を購入した人に対しても借地権を主張でき、従前の契約条件で土地を使用し続けることができます。
地主の借入れにより後から抵当権が設定される場合でも、借地人の権利は守られます。抵当権者も担保評価の際に借地権の存在を考慮して融資額を決定するため、実質的な不利益は生じないと考えられています。

抵当権が優先されるケース

土地にすでに抵当権が設定されている状態で借地権が設定された場合、抵当権が優先されます。抵当権者は更地としての価値を前提に融資を実行しているため、後から設定された借地権による制限を受けないからです。

抵当権者は担保不動産から優先的に債権回収を図れる権利を持っており、借地権による制約を受けると担保価値が大きく下がってしまいます。そのため、先に設定された抵当権の効力を後から設定された借地権で制限することはできないとされています。
ただし、抵当権者から同意を得て、その同意を登記することで借地権を優先させることも可能です。2004年の民法改正で導入されたこの制度により、抵当権者の利益を損なわない範囲で借地権者の保護も図れるようになりました。
土地を借りる際には、事前に登記簿で抵当権の有無を確認し、ある場合は抵当権者から同意を得ることを検討する必要があります。抵当権者の同意がなければ、将来的に立退きを迫られるリスクを負うことになるからです。

低地の抵当権が実行された場合、借主は土地を引き渡す必要がある

抵当権の効力が借地権より強い場合、地主が債務を返済できず抵当権が実行されたときには、借地人は建物を収去して土地を更地にして返還しなければなりません。借地契約に違反がなく真面目に地代を支払っていたとしても、地主の債務不履行により立退きを迫られる事態が発生します。

更地での競売を前提に融資を実行している抵当権者の利益を保護するため、借地人には建物を収去して土地を明け渡す義務が生じます。土地の明渡しを拒むことはできず、建物の取壊しや移転に関する費用も借地人の負担となります。
抵当権が実行された場合、競売による新所有者との間で新たな借地契約を結ぶことも可能です。ただし、新所有者には借地契約を継続する義務はなく、条件面での交渉も不利な立場を強いられます。
従って、抵当権が付いている土地を借りて借地権を得ることは、借主側に重大な不利益が生じる可能性を抱えることになります。事前に登記簿で抵当権の有無を確認し、ある場合は抵当権者の同意を得るなどの対策を講じる必要があるでしょう。

借主は抵当権を設定することができる?

土地を借りている権利そのものには抵当権を設定できませんが、借り主が所有する建物については抵当権の設定が認められています。建物の所有者は借地人であり、自己の所有物である建物に抵当権を設定する権利を持つためです。建物に抵当権を設定した場合、その効力は借地権にも及ぶとされています。

法的には地主の承諾なく建物への抵当権設定は可能ですが、実務上は金融機関が地主の承諾を求めるのが一般的です。地代の滞納などで借地契約が解除されると借地権が消滅し、建物の担保価値も失われてしまうためです。
金融機関は通常、地主から「借地契約を解除する前に連絡する」という承諾書の提出を求めます。借地契約が解除される前に競売手続きを進め、債権回収の機会を確保するためです。承諾書がなければ融資を受けられないケースが多くなっています。
借地上の建物に抵当権を設定する場合は、事前に地主の承諾を得ておくことが重要です。地主が承諾を拒否すれば、実質的に融資を受けることは難しくなります。

借地権を担保に融資してくれる金融機関はある?

借地権を担保にした融資は、一般の金融機関では審査が厳しく、多くの場合は融資を断られるケースが多くなっています。担保価値の不安定さが主な理由となり、銀行は慎重な姿勢を示します。

借地権の担保価値が低く評価される背景には、地主との関係性による不安定な要素があります。地代の滞納や契約違反により借地契約が解除されると、借地権自体が消滅してしまいます。金融機関にとって、担保価値が突然失われるリスクは大きな懸念事項となります。
また、「借地契約を解除する前に金融機関へ連絡する」という地主からの承諾書を得られたとしても、法的拘束力は限定的です。承諾書の内容に法的強制力はなく、地主が約束を守らずに契約を解除してしまう可能性も否定できません。
融資を実行する金融機関も、担保としての不安定さを考慮して融資条件は厳しくなります。一般的な不動産担保融資と比べて、融資額は評価額の5割程度に抑えられ、金利も高めに設定されることが多くなっています。

ただし、特定の金融機関では借地権を担保とした融資商品を取り扱っています。また、住宅ローンでも、自宅の敷地が借地の場合に対応可能な商品も存在します。融資を検討する場合は、複数の金融機関に相談し、条件を比較検討することが重要です。

こうした借地権固有のリスクを理解したうえで、事業計画や返済計画を慎重に立てましょう。 金融機関との交渉においても、借地契約の安定性や返済能力について、具体的な説明ができる準備が求められます。

まとめ

借地権と抵当権の関係は、登記の前後関係によって優劣が決まります。既に抵当権が設定されている土地で借地権を取得すると、将来的に立退きを迫られるリスクがあるため、事前の確認が重要です。

また、借地上の建物への融資では、金融機関が地主の承諾を求めるのが一般的となっています。借地契約の解除による借地権消滅を防ぐためです。借地権自体を担保にすることは難しいものの、借地上の建物であれば融資を受けられる可能性があります。専門家に相談しながら、状況に応じた融資方法を検討することをおすすめします。
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