借地権の権利金とは?相場や支払い時にトラブルを避ける方法を解説

借地権の「権利金」は、土地を借りる際に支払う重要な費用の一つです。保証金や礼金、更新料との違いを理解し、適正な相場や計算方法を把握しておくことで、スムーズな契約が可能になります。
この記事では、権利金の相場や支払い時に注意すべきポイントを解説し、トラブルを避ける方法や、権利金以外に必要な費用についても紹介します。地主や借地人が安心して契約できるための参考にしてください。

借地権の権利金とは

借地権の権利金は、建物所有を目的として土地を借りる際に、借地権設定の対価として借地人が地主に支払う一時金です。借地権は借地借家法によって手厚く保護された権利であり、その財産的価値は地主が保有する底地権よりも高額になることがあります。
権利金は法律で定められたものではありませんが、地主の土地利用が長期間制限されることへの補償として、慣習的に支払われています。
借地権に関連する支払いには、権利金のほかに保証金、礼金、更新料などがありますが、それぞれ性質が異なります。以下でその違いについて詳しく説明します。

保証金との違い

保証金は、借地契約における債務の履行を担保する目的で、借地人が地主に預け入れる金銭です。主に地代の滞納や土地の原状回復費用などの保証として機能します。賃貸借契約における敷金と同様の性質を持つため、契約終了時に不履行がなければ、借地人に全額が返還されます。
対照的に権利金は、借地権という財産的価値の取得に対する代金としての性格を持ちます。このため、一度支払われた権利金は原則として返還されることはありません。ただし、地主の都合による契約の途中解約の場合には、残存期間に応じて権利金の一部が返還される可能性があります。

礼金との違い

礼金は、賃貸物件の貸主に対する「お礼」として支払われる一時金です。賃貸借契約時に支払われ、返還されない点では権利金と共通していますが、その性質は大きく異なります。
権利金は事業目的などで建物を建てるための土地利用権に対する「対価」として支払われ、借地権という財産的価値の取得に対する支払いという性格が強いものです。
一方、礼金は建物を借りる際の感謝の意を表す性質を持ち、住居用の賃貸物件で一般的に見られます。契約期間中に地主都合で解約となった場合、権利金は一部返還される可能性がありますが、礼金にはそのような返還の概念はありません。

更新料との違い

更新料は、借地契約の更新時に借地人が地主に支払う一時金です。借地権価格の5%前後が一般的な相場とされており、契約更新の対価として支払われます。ただし、更新料の支払い義務は契約書に特約がある場合のみ発生します。
権利金は契約締結時の一時金である一方、更新料は契約更新時の支払いという点で時期が異なります。さらに、権利金は借地権という権利の取得対価としての性格を持つのに対し、更新料は契約の継続に対する対価としての性格を持ちます。ただし、どちらも法律上の支払い義務がなく、返還も不要という点では共通しています。

借地権の権利金の相場

借地権の権利金には一定の相場があり、地域や土地の用途によって金額が変動します。借地権価格を基準として設定されることが多く、その算出方法は明確です。
以下では、借地権の権利金の相場について具体的な計算方法と、実際の設定額の目安を解説していきます。

借地権価格が目安

借地権の権利金は、一般的に借地権価格を参考に決定されます。借地権価格は「土地価格×借地権割合」という計算式で求められます。例えば、土地価格が9,000万円で借地権割合が70%であれば、借地権価格は6,300万円となります。
借地権割合は国税庁のホームページで公開されている路線価図から確認可能です。路線価図には、土地が接する道路に数字とアルファベットが記載されており、このアルファベットが借地権割合を示しています。
もし路線価図に借地権割合の記載がない地域の場合は、国税庁の評価倍率表で確認することができます。実際の取引では、この借地権価格を基準として、地主と借地人の交渉により最終的な権利金額が決定されます。

更地価格の60%~90%程度に設定されている

借地権の権利金は、通常、更地価格の60%から90%程度の範囲で設定されています。この割合は地域によって大きく異なり、都市部ほど高く、地方ほど低くなる傾向にあります。例えば、東京駅周辺や銀座などの都心では90%という最高水準に設定されることが一般的です。
一方、地方の中心市街地では60%から80%程度、郊外では30%から40%程度に設定されるケースが多くなっています。これは土地の利便性や事業としての収益性、賃貸市場での需要などが考慮されているためです。
なお、権利金の最終的な設定額は、地主が提示した金額に対して借地人との合意が必要です。路線価図のアルファベット(A:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50%、F:40%、G:30%)を参考に、その地域の実情に応じた適切な割合が選択されています。

借地権の権利金額は地主と借地人の合意で決まる

借地権の権利金は、借地権価格を参考にした相場があるものの、最終的な金額は地主と借地人の交渉・合意によって決定されます。相場から大きく外れた金額設定も、双方が納得して合意すれば有効となります。ただし、あまりにも高額な権利金を請求された場合は、権利金の設定が適切でない可能性を疑う必要があります。
すでに支払いを済ませた権利金については、たとえ相場より高額だったとしても、返還を求めることは困難です。これは、権利金に関する法的な金額基準がなく、また一度合意の上で支払った金額について、後から異議を申し立てることは認められにくいためです。
例外として、地主の都合による契約の途中解約の場合には、借地契約の残存期間や借地人の経済的損失などを考慮して、権利金の一部が返還される可能性があります。そのため、契約締結前に権利金の金額について十分な検討と交渉を行うことが重要です。

借地権の権利金の支払い時にトラブルを避ける方法

借地契約において、不当に高額な権利金を要求されたり、契約トラブルが発生したりするケースがあります。こうしたリスクを回避するためには、以下の3つの対策が効果的です。
  • 相場・路線価・借地権割合を確認する
  • 地代を確認する
  • 専門家に相談する

相場・路線価・借地権割合を確認する

借地契約での権利金相場は、更地価格と借地権割合から算出することができます。実際の取引価格は、周辺地域の成約事例を基準に検討する必要があります。地元の不動産業者から取引相場の情報を収集することも有効な手段です。
また、国税庁が公開している路線価図で、土地の価値と借地権割合を確認することも重要です。もし路線価と実勢価格に大きな乖離がある場合、その土地の取引相場が過熱している可能性があり、借地権の取得を再検討した方がよいかもしれません。

地代を確認する

借地権設定後は、借地人は地主に対して地代を支払う義務が生じます。権利金が低額に設定されているケースでは、その代わりに地代が高く設定されていることがあります。
契約時の初期費用である権利金と、継続的な支払いである地代を総合的に考慮し、借地人にとって有利な条件かどうかを判断する必要があります。将来的な経済的負担を考えると、権利金と地代のバランスは重要な検討要素となります。

専門家に相談する

不動産取引では、当事者間でのトラブルが発生しやすいものです。借地権の設定においても、後から土壌汚染や地盤沈下、地中埋設物などが発見され、想定していた土地利用ができなくなるケースも考えられます。
こうしたリスクを事前に把握し、借地契約書に適切な対応条項を盛り込むことが重要です。借地人にとって不当に不利な条項が含まれていないか、トラブル発生時の解決手順は明確に規定されているかなど、契約内容を専門家の目で精査することで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

権利金以外に借地権の取得に必要な費用

借地権を取得する際には、権利金の他にもいくつかの費用が必要です。
主な費用として、以下の3つがあります。
  • 地代
  • 手付金
  • 保証金
これらの費用は、それぞれ異なる性質と目的を持っており、適切に理解しておくことが重要です。

地代

地代は、土地の使用料として地主に支払うもので、借地料とも呼ばれます。その金額は借地権の種類や建物の用途によって異なります。定期借地権の場合、居住用建物では土地価格の2~3%、事業用建物では4~5%程度が一般的な年額となっています。
一方、普通借地権の場合は、固定資産税の3倍程度が目安とされており、概ね土地価格の1%未満となることが多く、定期借地権より低額です。これは、普通借地権では権利金を支払うことで、地代が低く抑えられているためです。

手付金

手付金は、借地契約が成立したことを証明するために支払う費用で、通常、権利金の5~10%程度が相場です。契約時の意思表示として機能し、住宅ローンの審査中に地主が他者と契約を結ぶことを防ぐ効果があります。
解約手付としての性質も持ち合わせており、借地人は手付金を放棄することで、または地主が手付金の2倍を支払うことで契約を解除することが可能です。決済時には、権利金から手付金を差し引いた残金を支払う形となります。

保証金

保証金は、契約履行を担保するために支払う金銭で、賃貸借契約における敷金と同様の性質を持ちます。地代の滞納などの不履行がない場合、契約終了時に全額が返還されます。ただし、まれに1~3割が償却されるケースもあります。
一般的に、普通借地権では契約当初に権利金を支払い、定期借地権では契約開始時に権利金か保証金のいずれかを支払うことが多いとされています。なお、契約終了時までに地代の滞納がなければ、保証金は借地人に返還されます。

まとめ

借地権における権利金は、取引の重要な要素であり、適切な理解と対応が不可欠です。権利金の相場や性質を把握し、地代などの関連費用とのバランスを考慮することで、将来的なトラブルを回避することができます。専門家への相談や周辺相場の確認など、慎重な準備を行うことで、借地権者と地主の双方にとって適切な取引を実現し、安定した借地関係を築くことが可能となります。権利金に関する正しい知識を持ち、適切な対応を取ることで、円滑な借地権取引を進めることができます。
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