借地権は売却できる!
価格相場、売却方法、手続きの流れを解説
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借地権は条件が整えば売却できますが、地主との交渉や法的な確認事項が多く発生します。
スムーズに進めるには、事前の準備と正しい知識が欠かせません。
本記事では、売却までの全体像を整理しながら、ケース別の対応や失敗を防ぐための工夫も交えて解説しています。
◯ 本記事でわかること
- 借地権の価格相場と計算方法
- 4つの売却方法
- 売却手続きの流れと注意点
- 地主が承諾しない場合に取れる対応
「スムーズに借地権を売りたい」「地主さんとのやりとりもスムーズに終わらせたい」という方は、この記事で借地権売却の全体の流れとコツをチェックしてください。
【この記事のまとめ】
- 借地権は地主承諾が原則必要な賃借権と自由な地上権に大別されます。
売却価格は更地価格×借地権割合が目安ですが、築年数や地主意向等で変動します。 - 借地権は地主売却が最もスムーズですが、第三者売却等も可能。
手続きは契約確認から引渡しまで多段階。事前確認と地主交渉が重要です。 - 地主の同意が得られない場合でも、借地非訟や建物売却等も。
複雑な借地権売却は、専門知識を持つ不動産会社や弁護士のサポートが不可欠となります。
借地権売却の基本的な仕組み

借地権は、条件さえ整えば売却可能です。ただし、自由に売却できるわけではなく、地主の承諾や法的な制限が関係してきます。
まずは借地権の基本的な仕組みを理解し、自分のケースに当てはまる内容を確認することから始めましょう。
地上権と賃借権の違い
借地権とは、他人の土地を借りて建物を建てる権利のことです。
大きく分けて「地上権」と「賃借権」の2種類があり、それぞれ性質と扱いが異なります。整理すると以下の通りです。
地上権 | 賃借権 | |
---|---|---|
法的な性質 | 物権(独立した権利) | 債権(契約に基づく権利) |
登記の可否 | 単独で登記できる | 原則不可(建物登記で対抗) |
譲渡・転貸 | 自由(地主の承諾が不要) | 原則、地主の承諾が必要 |
契約内容の自由度 | 比較的高い | 地主の意向に大きく左右される |
売却時の扱い | 所有権に近く、第三者に売却しやすい | 地主の承諾次第で売却が困難になることもある |
地上権
地上権は「物権」に分類されるため、第三者に対しても強い効力を持ちます。
単独で登記が可能で、登記済みであれば地主の承諾がなくても譲渡や転貸が認められます。
売却時には、所有権に近い扱いを受けるため、不動産としての市場価値も比較的安定しやすい特徴があります。
ただし、現在の借地契約のほとんどは賃借権で、地上権が使われることはごくまれです。
賃借権
賃借権は「債権」として位置づけられ、地主との契約関係に基づくものです。
そのため、土地の使用や譲渡・転貸にあたっては地主の承諾が原則必要になります。
また、登記そのものはできませんが、建物を借主名義で登記することで第三者への対抗力を得ることが可能です。
売却の際には、地主から譲渡承諾を得る必要があるため、タイミングや交渉が重要になります。
なぜ地主の同意が必要なのか
地主の同意が必要な理由は、主に以下の5つです。
- 賃借権は地主の財産権に基づく契約のため
土地の使用を許可している立場から、契約の相手が変わることに介入できる権利がある - 契約上、信頼関係を前提としているため
借主の人柄や建物の使い方など、人格的な信用も含めて契約が成り立っている - 第三者への無断譲渡はリスクになるため
地主にとって、知らない相手に土地を使われることはトラブルの原因になり得る - 譲渡承諾料の請求が想定されるため
借地権を第三者に売却する際、地主の承諾と引き換えに「譲渡承諾料」が請求されることがある - 事前確認を怠ると手続きが滞るため
契約内容や地主の意向を無視すると、取引が頓挫したり、法的トラブルにつながる
契約書の内容や過去のやり取りに応じて、地主との協議の進め方も変わります。事前に書面や記録を確認し、専門家に相談するのが安全です。
借地権売却の価格相場と計算式

借地権の売却価格は、一般的に「更地価格に借地権割合を掛けた金額」が基準とされます。
更地価格は路線価や公示地価から算出し、借地権割合は地域によって異なりますが、60〜70%が目安です。
たとえば、以下の条件で借地権価格を計算すると、次のようになります。
<条件>
- 路線価:150,000円/㎡
- 土地面積:100㎡
- 借地権割合:70%(地域によって多少異なる)
<計算式>
- 更地価格の算出
150,000円 × 100㎡ = 15,000,000円 - 借地権価格の算出
15,000,000円 × 70% = 10,500,000円
ただし、実際の取引では以下のような要素によって価格が増減します。
- 建物の築年数や構造(古い木造の場合、評価が下がる傾向)
- 地主の譲渡承諾料の有無・金額(相場は借地権価格の約10%)
- 地代や契約年数の残存期間
こうした条件を総合的に判断する必要があり、数字だけでなく契約内容や現地状況も踏まえた不動産会社の実査定が欠かせません。
借地権割合と路線価を自分で調べる方法
借地権の売却価格や相場感を把握するには、まず「路線価」と「借地権割合」を自分で調べておくと安心です。
どちらも国税庁の公式資料を使えば無料で簡単に確認できます。
❶ 路線価の調べ方
- 国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」を利用
- 所在地(市区町村・番地)ごとに1㎡あたりの金額が記載されている
- 数字の単位は1,000円単位(たとえば「150D」と書かれていれば150,000円/㎡)
参照元:路線価図・評価倍率表(国税庁)
❷ 借地権割合の見方
路線価図の「記号欄」に記載されている英字(A〜Gなど)で確認する。
それぞれに対応する借地権割合は以下のとおり
例:A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%
※取引慣行のない地域では20%扱い、あるいは0%のケースもある
借地権を売却する4つの方法
借地権は誰に売却するかによって進め方が大きく異なります。
地主か第三者か、または等価交換や底地権と合わせての売却か、それぞれの特徴と流れを整理すると以下の通りです。


地主に売却する
借地権を売却する際、最もスムーズに進みやすいのが「地主への売却」です。
地主にとっては、これまで一部しか保有していなかった土地を完全に所有できるチャンスとなるため、交渉がまとまりやすい傾向にあります。
- 譲渡承諾料が不要なため、他の売却手段と比べて費用面で有利
- 価格も更地価格に近づきやすく、高値での売却が期待できる
ただし、地主が買取を望まないケースもあるため、事前の意思確認と信頼関係の維持が重要です。
可能性が高ければ、最短・低コストでの売却が実現できます。
第三者に売却する
地主への売却が難しい場合、第三者への売却が次の選択肢となります。
この方法では、原則として地主の「譲渡承諾」が必要になり、併せて承諾料の支払いが求められることが一般的です。
- 借地上の建物だけを取得する形式になるため、買い手にとってはリスクを伴う
- ローン審査や担保評価で不利になる場合もあり、購入意思のハードルが高くなる
そのため、売主側には「立地の魅力」や「再建築の可能性」など、借地権の将来性をわかりやすく伝える工夫が求められます。
専門的なサポートと戦略的な販売活動が成否を分けるポイントです。
等価交換を行って第三者に売却する
地主と借地権者が、互いの権利(借地権・底地権)を「等価」とみなして交換し、それによって完全な所有権を取得した上で第三者に売却する方法です。
所有権物件として流通できるため、買主の信頼も得やすくなります。
- 譲渡承諾が不要になり、評価も高まることから、売却価格が上がる傾向にある
- 交換割合の評価調整や契約条件のすり合わせに時間がかかるため、専門家の関与が必須
交渉力と事前準備がカギを握る手法ですが、条件が整えば非常に効果的な選択肢となります。
借地権と底地権をセットで第三者に売却する
借地権者と地主が協力し、両者の権利をまとめて一括で第三者に売却する方法です。
- 不動産価値が最大化されるため、高値で売却できる可能性が高くなる
- 特に商業地や再開発地域などでは、開発業者や投資家からの引き合いも期待できる
ただし、地主との信頼関係や協力体制が前提となるため、双方の合意形成が最大のハードルです。
早期からの調整と契約支援体制の構築が求められます。
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売却手続きの6つの流れ
借地権の売却には、法的手続きや地主との交渉、登記変更などが必要になります。
売却手続きの流れは以下の通りです。
- 借地契約書・登記簿の確認
- 地主との事前相談・承諾交渉
- 不動産会社の選定・媒介契約
- 購入希望者の募集・価格交渉
- 譲渡承諾・契約書の作成
- 引渡し・登記の名義変更
それぞれ詳しく解説します。
1.借地契約書・登記簿の確認
売却に向けた第一歩は、借地契約書と登記簿謄本の内容確認です。
契約の種類や内容によって売却の可否・手続きが大きく変わるため、見落としがないように注意しましょう。
項目 | チェック内容 |
---|---|
借地権の種類 | 地上権か賃借権か(※賃借権の場合、承諾が必要) |
契約期間・更新条件 | 契約期間、更新の有無と更新料 |
建物の登記状況 | 登記されているか、名義人は誰か |
契約書の有無 | 契約書の原本があるか、紛失していないか |
不明点が多い場合や記載内容に自信が持てない場合は、司法書士にチェックを依頼すると安心です。
2.地主との事前相談・承諾交渉
借地権が賃借権であれば、第三者への売却には地主の承諾が不可欠です。交渉の第一印象を左右する場面なので、丁寧なコミュニケーションが求められます。
地主との交渉で話すべき内容は以下の通りです。
- 売却の意思と理由
- 想定される買主の概要(居住用・事業用など)
- 譲渡承諾料の金額と支払い方法
- 売却後の地代継続や契約条件
地主にとっても「誰に土地を使わせるか」は重要な関心事項です。
信頼関係を損なわないよう、早めの相談を心がけましょう。
3.不動産会社の選定・媒介契約
借地権売却の成功は、パートナーとなる不動産会社の選び方に大きく左右されます。一般的な仲介経験だけでなく、「借地権売却の実績」の有無も選定のポイントです。
契約形態 | 特徴 |
---|---|
専属専任媒介 | 1社のみ依頼。売主が自分で買主を見つけることも不可 |
専任媒介 | 1社のみ依頼。ただし売主が買主を見つけるのは可 |
一般媒介 | 複数社に依頼可能。自由度は高いが、責任が分散する |
不明点や不安がある場合は、面談時に、過去の借地売却実績や地主対応の経験を具体的に確認しておくと良いでしょう。
4.購入希望者の募集・価格交渉
媒介契約後は、不動産会社が広告やネット掲載を通じて買主を募集します。
借地権物件は、所有権物件に比べて説明が複雑になりやすいため、買主の不安を解消する工夫が重要です。
交渉に影響する主な要素は、以下の通りです。
- 譲渡承諾料(買主負担か売主負担か)
- 建物の築年数や構造(リフォームの必要性)
- 地代の金額と更新条件
- 住宅ローン利用の可否(金融機関の取り扱い)
交渉がまとまれば、次は地主の承諾取得と売買契約書の作成に移ります。
5.譲渡承諾・契約書の作成
買主が決まったら、地主から譲渡承諾書を取得する必要があります。
この承諾書がなければ、賃借権の譲渡は成立しません。地主が同意する場合、譲渡承諾料の額が正式に決定されます。
売買契約書に記載すべき主な内容は、以下の通りです。
- 借地契約の承継に関する条項
- 引渡し・代金決済スケジュール
- 特約(リフォーム条件、荷物処分、境界確認など)
- 万が一の解除条件や違約金条項
司法書士や宅地建物取引士の確認を受けながら契約を進めることで、後のトラブルを未然に防げます。
6.引渡し・登記の名義変更
最後に、代金の授受・物件の引渡し・登記変更を行って、正式に売買が成立します。
借地権の種類によっては、名義変更以外にも契約更新や再締結が必要となるケースもあります。
チェック項目 | 内容・確認ポイント |
---|---|
建物の登記名義変更 | 所有権を売主から買主へ移転登記する |
借地契約の名義変更または新規契約の締結 | 賃借権なら地主と新契約、地上権なら登記移転 |
鍵の引渡しと設備の動作確認 | 鍵の本数、電気・ガス・水道・給湯器などの使用可否を確認 |
引渡し確認書や領収書の取り交わし | 書面で引渡し完了を証明し、金銭の授受についても記録を残す |
必要書類のコピー提供 | 契約書、譲渡承諾書、登記簿謄本などを買主に渡す |
地主に断られたときの2つの対応策
地主が譲渡に同意しない場合でも、売却をあきらめる必要はありません。
代替手段を用いることで、対応の幅が広がります。
借地非訟手続き
借地非訟手続きとは、地主の同意が得られない場合に、家庭裁判所を通じて譲渡の許可を求める手段です。
裁判所は「正当な理由がない拒否かどうか」を判断基準とし、承諾に代わる許可を出すことができます。
ただし、時間と費用がかかるため、事前に弁護士と相談し、裁判所が認めやすい条件を整えておくことが成功の鍵です。
正規の法的手段であるため、選択肢として十分に検討する余地はあるでしょう。
借地権付き建物ごと第三者へ売却
地主の承諾が得られないときは、建物と借地権を一括して第三者に売却し、その第三者が改めて地主に交渉する方法もあります。
この場合、買主にとってリスクがあるため、価格は相場より低くなる傾向にありますが、売却の実現性は残されます。
あらかじめ買主に「地主との交渉前提」である旨を明示し、承諾が得られた後に本契約を結ぶなど、段階的なアプローチが必要です。
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借地権売却についてのよくある質問
借地権の売却には多くの疑問や誤解がつきものです。
実際によく寄せられる質問を通じて、事前の不安を解消していきましょう。
Q.築古の建物でも売れる?
築年数が古い建物でも、借地権の価値が見込めれば売却は可能です。
特に人気エリアや高い路線価がある地域では、建物評価よりも土地の使用権が重視されるため、買主が見つかるケースは少なくありません。
解体前提で売却する場合は、建物の評価額がゼロでも交渉の余地が十分あります。
Q.地主が連絡に応じてくれないときは?
地主と連絡が取れない場合は、内容証明郵便や第三者を通じた通知など、法的手段も視野に入れます。
それでも応じないときは、家庭裁判所での非訟手続きを検討することが現実的です。放置せず、早めに弁護士へ相談しましょう。
Q.借地権を相続予定だが、今売却できる?
相続前の段階で売却するには、現借主の名義である必要があります。
もし名義が親で、自身が売却を希望する場合は、まず名義変更または遺産分割協議を経てからの手続きとなります。
相続が見込まれるタイミングであれば、税制面の配慮や専門家との相談を通じて、ベストな時期と方法を検討するのが賢明です。
Q.借地権を売った場合の税金はいくらですか?
借地権の売却による税金は、譲渡所得税として課されます。
税額は売却価格や所有期間、そして売却益の額によって異なります。長期保有と短期保有では税率が異なり、所有期間が税額に影響を及ぼします。
例えば、売却益が100万円で長期保有の場合は、約20%前後の税率が適用されることが多いですが、税制の変動があるため最新の税率を確認することが重要です。
Q.借地権付き建物は売れにくいですか?
借地権付き建物の売却は、通常の不動産売買よりも複雑で、売れにくい場合もあります。
これは、買主が土地の使用権を引き継ぐ必要があるため、特に購入者を見つけることが難しいケースがあります。
多くの場合は地主の承諾が必要なケースとなり、売却が困難になることがあります。ぜひ一度、専門家にご相談ください。
Q.今の借地権価格を知りたいがどう計算したらいいのかわからない
簡単に価格を出すとしたならば路線価での計算をお奨めします。
借地権価格は、(更地にした場合の)土地評価額×借地権割合で計算します。
ただし、一般的にこの計算式は相続税の算出基準に用いられ、借地権の本当の価格については借地の状態や状況などでも大きく左右されますので、まずは専門家に見積もりをご依頼することをお勧めいたします。
Q.今、借地権を売ったらいくらになるのかを知りたい
借地権の売却見積もりは、借地の状態や地域などによっても大幅に違いがありますので、まずは現在の情報等をお聞かせください。
その上で現地に伺い、調査することも可能です。
Q.ローンがまだ多く残っており、建物もボロボロだが借地権を買い取ってもらえるだろうか?
抵当権を抹消できれば売買可能です。もちろんその時には地主の承諾は必要です。
Q.飲食店を経営しているが不景気のため閉店を考えている。もし借地権を売った場合の査定額を知りたい
もちろん飲食店の借地も売却することができます。
借地権の買取査定は、立地や現状での借地権の状態などにも大きく左右されますので、まずは当社にご連絡を頂き査定の段取りをご説明させていただきます。
まとめ
借地権の売却は、買主や地主との交渉や、それ以外にも複雑な手続きが発生するため、売却の難易度が高いと言われています。
専門家に相談することで、予期せぬトラブルを避け適切なやり方で進めることができるため、借地権売却を成功させるための最適な選択肢となるでしょう。
当社では、借地権の売却に関する無料相談・無料査定を実施しています。
借地権の売却についてのご質問やご不安があれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。
古い建物や借家人がいる場合でもそのまま買い取らせていただき、地主とのやり取りもすべて私たちが行いますので、
迅速にそしてお客様の状況にぴったり合った解決策をご提案します。
借地権の売却を現在検討されている、または今すぐでなくとも将来的に少しでも売却をお考えであれば、
是非この機会にまずは無料相談・査定からご相談ください。
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