借地権は相続できる?
名義変更や手続きの方法、費用について解説

借地権の相続が発生した場合、名義変更や相続税の支払いといった重要な手続きを進める必要があります。

本記事では、借地権付きの土地や建物を相続した際の具体的な手続き方法や、名義変更にともなう費用、相続税に関する注意点について詳しく解説します。

相続人の方がスムーズに対応できるよう、必要な手続きや費用負担についての知識を網羅的にまとめているため、相続に関する不安や疑問を解消したい方はぜひ最後までご一読ください。

借地権は相続の対象

借地権は、他人の土地に建物を建てるための権利であり、相続財産として引き継ぐことが可能です。一般的に、借地権の相続には地主の承諾は不要であり、地主に通知するのみで相続手続きを進められます。そのため、相続人が借地権を取得する際には地主と交渉する必要はなく、法的にはスムーズに相続が完了します。

しかし、借地権の名義変更をするためには法務局での手続きが必要となり、忘れてしまうと後々の権利関係が不明確になる恐れがあるため注意しなければなりません。

借地権を相続する場合の相続人は、民法で定められた法定相続人が対象となり、配偶者や子どもが優先されます。被相続人に子どもがいない場合には、親や兄弟姉妹が相続人となるケースもあるでしょう。

また、遺言がある場合には、被相続人の意思で親族以外に借地権を譲渡することも可能ですが、地主の承諾が必要です。地主との話し合いが不可欠となりますので、事前の調整を怠らないようにしましょう。

なお、借地権を相続したくない場合、相続放棄という選択肢もあります。相続放棄をする際には、借地権だけでなくほかのすべての財産も放棄することになるため、被相続人の全体の財産状況をよく確認し、ほかの相続人と相談のうえで決定することが大切です。

また、相続放棄は家庭裁判所への申述が必要であり、相続を知ってから3ヶ月以内に手続きを行わなければならないため、早めの対応が求められます。

借地権の相続手続きの流れ

借地権の相続においては、まず借地上の建物の名義変更を行い、地主に知らせておくと安心です。名義変更に遅延が発生すると権利関係のトラブルが起きる可能性もあるため、スムーズな相続手続きが重要です。

ここでは、建物名義変更の流れを解説します。

不動産全部事項証明書を取得する

まず、不動産全部事項証明書を取得し、対象不動産の状況を確認しましょう。証明書は、法務局にて発行でき、土地や建物の所有者や抵当権の有無、土地の概要などが記載されています。(参考:法務局「各種証明書請求手続」)不動産相続において、対象物件の詳細がわかる不動産全部事項証明書は必要不可欠です。

借地権を相続する人を決める(遺産分割協議)

借地権以外にも遺産が存在する場合、遺産分割協議を通じて相続人同士で誰が何を相続するか話し合う必要があります。借地権は性質上、複数人で共有すると管理が難しくなるため、1人が相続するのが望ましいです。協議の結果は、後に法務局への提出が必要となる遺産分割協議書にまとめます。

必要書類を法務局に提出

名義変更のために以下の書類を揃えて、法務局に提出します。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人の住民票
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 相続人全員の印鑑証明書(協議書がある場合)
  • 固定資産税評価証明書

名義変更手続きは複雑で時間がかかる場合があるため、専門家である司法書士に依頼するのもよい方法です。

借地権の相続にかかる費用

借地権を相続する際には、名義変更や相続税の支払いなど、いくつかの費用が発生します。借地権は相続財産の一部と見なされ、相続手続きには相続税や各種手数料がかかる場合があるため、費用項目と相場を理解しておくとよいでしょう。

ここでは、相続にともなう主な費用について詳しく見ていきます。

名義変更にかかる費用

借地権を相続する際には、借地上の建物や借地権そのものの名義変更が必要です。手続きにかかる費用としては、まず「登録免許税」が挙げられます。不動産の名義を移転登記する際に必要な税で、建物の所有権の移転には、固定資産税評価額の0.4%が課税されるのが特徴です。

また、借地権自体が登記されている場合、借地権の移転にも登録免許税が必要で、固定資産税評価額の0.2%がかかります。例えば、建物の評価額が1,000万円であれば、所有権の名義変更には4万円がかかる計算です。

さらに、名義変更の際には、登記申請や必要書類の準備を行うための手数料が発生します。手続きは複雑で手間がかかるため、登記の専門家である司法書士に依頼するのもよい方法です。司法書士への依頼費用は、手数料として5万円~10万円が相場で、内容によっては15万円程度かかることもあります。

依頼を検討する際には、司法書士の経験や実績、依頼内容に応じた費用の見積もりを取るとよいでしょう。

相続税の支払い義務も発生する

借地権を含む遺産の相続が発生すると、相続税が課税されます。相続税は、相続開始日(通常は被相続人の死亡日)から10ヶ月以内に申告と納税を行わなければなりません。借地権も相続財産の一部と見なされるため、相続税評価額を基に算出された税額が課されます。借地権の相続税評価額を求めるためには、国税庁が定める「路線価」や「借地権割合」を用いるのが一般的です。これらは国税庁のホームページで確認できます。

例えば、路線価が「300D」となっている土地で150㎡の借地権を相続する場合、相続税評価額は以下のように計算されます。

まず、路線価300を1,000倍して1㎡あたりの評価額30万円を求め、これに土地の面積150㎡をかけて4,500万円の自用地評価額を算出します。

次に、路線価の借地権割合(Dランクは60%)をかけ、借地権の相続税評価額はおおよそ2,700万円となります。

計算式で表すと、以下の通りです。

  • 普通借地権の相続税評価額:(300×1,000×150㎡)×借地権割合60%=2,700万円

なお、借地権割合は地域や土地の状況によって異なり、都心部や地価の高い地域では相続税評価額も高額になる傾向が高いです。

借地権の相続税評価には計算が複雑な点があるため、専門家である税理士に依頼するのがよいでしょう。

特に都市部で高額の借地権を相続する場合は、相続税対策としても評価額の把握が重要です。

借地権の相続時に注意しておきたいポイント

借地権の相続時には、以下のポイントに注意しておかなければなりません。

  • 遺言による相続人以外への譲渡には地主の承諾が必要
  • 相続時の正当な理由なしの返還要求は拒否できる
  • 兄弟などによる共有相続は避ける
  • 相続した借地権の売却は地主の許可が必要

それぞれ詳しく解説します。

遺言による相続人以外への譲渡には地主の承諾が必要

借地権の相続では、相続人以外の第三者に譲渡する場合、地主の承諾が必要です。例えば、故人が遺言によって借地権を親族ではない人物に譲渡する場合、地主にとって予測していなかった借地権の引き継ぎが行われることから、地主の承諾が求められます。

また、このような譲渡に際しては「譲渡承諾料」が地主に支払われるケースもあります。譲渡承諾料は、一般的に借地権評価額の10%程度とされていますが、地域や地主によって変動する可能性があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

基本的な相続の流れとしては、まず被相続人の遺言書が存在するかを確認し、借地権の相続先が確定します。その後、相続した旨を地主に通知し、借地権に関わる名義変更など必要な手続きを行います。特に、法定相続人以外への譲渡が発生する場合には、地主との話し合いが欠かせないため、事前に交渉が円滑に進められるよう準備しておきましょう。

相続時の正当な理由なしの返還要求は拒否できる

正当な理由がないにもかかわらず、地主が借地権の相続時に借地の返還を求めることがありますが、相続人には返還を拒否する権利があります。借地借家法では、借地上に建物が存在する限り、地主が一方的に契約を解除することはできません。したがって、相続人が借地を引き続き利用したい意思を示せば、正当な理由なしの返還要求には応じる必要はありません。

一方で、相続人が借地を返還したいと考えている場合、返還に応じることも可能ですが、土地を更地にして返還する必要があります。なぜなら、借地契約に基づき建物を解体したうえで返還する義務が生じるためです。建物の解体費用は相続人の負担となるため、返還を決断する際には費用面も考慮することが大切です。

兄弟などによる共有相続は避ける

借地権を相続する際に兄弟や複数の相続人で共有することは、後々トラブルにつながる可能性があるため、避ける方がよいとされています。共有相続にすると、借地権を利用するための意思決定や変更には全員の同意が必要となり、建物の建替えや売却などの際に一部の相続人が反対してスムーズに進まないことも考えられるのです。
さらに、次世代に引き継がれる際、相続人が増え、共有持分がさらに細分化されることになり、管理がより困難になります。トラブルを避けるためにも、借地権を相続する場合は、特定の相続人に相続させるか、遺産分割協議の段階で共有相続をしない方向で話し合いを進めるのがよいでしょう。

相続した借地権の売却は地主の許可が必要

借地権を相続した後に売却する場合も、地主の許可が必要です。借地権は相続によって引き継がれるだけでなく、売却や譲渡によっても所有者が変更されるため、地主にとっては、引き続き安定した賃貸借関係を保てるかどうかが懸念されます。

そのため、借地権の売却時には地主に譲渡の承諾を得るとともに、一般的には借地権価格の10%程度を譲渡承諾料として支払わなければなりません。

借地権の売却手続きを進める場合、まず売却予定の相手を選定し、地主に譲渡の許可を求めます。地主から承諾を得られない場合には、裁判所に対して「譲渡承諾に代わる許可」を申請する方法もありますが、手続きが複雑で時間がかかるため、地主との話し合いで合意に至るよう努めることが望ましいでしょう。

まとめ

借地権の相続に関しては、名義変更や相続税の支払い義務、地主の承諾が必要なケースなど、さまざまな手続きや費用が関わります。借地権相続の際には、まず相続人の間で協議によって権利を承継する人を決定し、法務局で必要な手続きを進めることが重要です。

また、相続税の負担や名義変更にかかる費用も把握しておき、計画的に対応しましょう。こうした準備を怠らないことが、スムーズな相続と円滑な地主との関係を保つために大切です。

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