借地権の相続時に起こり得る10のトラブルと対処法を紹介!

借地権を相続することになったものの、どんなトラブルが起こるのか不安に感じていませんか。実は、地主との関係や相続人同士の対立、費用面など、多岐にわたるトラブルが起こる可能性があるのです。

この記事では、トラブルの内容を地主編・相続人編・費用編に分けて、具体的なシーンを挙げながら対処法について解説します。

借地権の相続に地主の許可は不要

借地権とは、他人の土地を借りて建物を建てるために利用できる権利のことです。この権利は財産的価値が認められており、相続の対象となります。土地を借りている人が亡くなった場合、その権利は相続人に引き継がれることになります。

借地権を引き継ぐ際、必要となるのは借地にある建物の「名義変更」の手続きだけです。

地主の承諾は基本的に不要とされています。しかし、遺言で法定相続人以外の人(第三者)に借地権を譲る場合には地主の承諾が必要になるなど、いくつか例外的なルールがあることに注意が必要です。

相続に関する複雑なルールについて、地主との認識違いや知識不足からトラブルに発展するケースが少なくありません。相続に関して起こりやすいトラブルをあらかじめ把握しておくことが大切です。

特に借地権の相続では、法的な知識が必要となるシーンが多いため、トラブルの予兆を感じた場合は早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

借地権相続時に起こり得るトラブルと対処法【地主編】

借地権の相続では、地主との間でさまざまなトラブルが起こる可能性があります。

以下では、主なトラブル例と対処法を紹介します。

【地主との間に起こり得る借地権相続トラブル】

  • 名義変更料や承諾料の請求
  • 立ち退きや返還要求
  • 地代の値上げ要求
  • 建物の建て替え許可が得られない
  • 建物の売却承諾が得られない

名義変更料や承諾料の請求

借地権を相続したとき、地主から「名義変更には私の承諾が必要だから、手数料を支払ってほしい」と請求されることがあります。

しかし、法定相続人が相続する場合、地主の承諾は不要であり、承諾料などを支払う法的な義務はありません。ただし、今後も地主との関係は続いていくことを踏まえ、少額であれば支払うことで円満な関係を維持できるケースもあるでしょう。

高額な手数料を要求された場合は、法的な根拠を示しながら丁寧に説明し、交渉すべきでしょう。

立ち退きや返還を求められる(更新拒否)

相続をきっかけに、地主から「土地を返してほしい」、「契約を更新しない」などの要求をされる場合があるでしょう。しかし、正当な事由がない限り、地主は立ち退きを求めたり、契約更新を拒否したりすることはできません。

立ち退きの正当事由として認められるのは、地主側に切実な使用の必要性があり、かつ不利益を被った借地人に対して立退料を支払うがある場合です。

例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 地主が高齢で病気を患っており、敷地の一部を売却して資金を集め、残りの敷地にマイホームを建て替えて子どもと同居する必要がある
  • 建物の老朽化が著しく耐震性に問題がある
    など

ただし、借地人の生活への影響が大きい場合は、相当額の立退料(数百万円から数千万円規模)の支払いが必要とされます。立退料は単独では正当事由とならず、あくまでも補完的な要素として考慮されます。

結論としては、相続したことだけを理由とする立ち退き要求には応じる必要はありません。地主から強引な要求があった場合は、必要に応じて弁護士に相談することをおすすめします。

地代の値上げ

地主から「相続を機に地代を値上げしたい」と要求された場合、相続人はこれまでの契約条件をそのまま引き継ぐため、値上げに応じる必要はありません。

ただし、以下のようなケースでは地代の値上げが認められる可能性があります。

  • 賃貸借契約書に値上げの取り決めが定められている
  • 土地に対する租税公課が増加した
  • 土地の価格が上昇した
  • 近隣の同じような土地の地代と比べ著しく低額である

このようなケースでも、まずは地主と話し合いを行い、お互いが納得できる金額を見出すことが重要です。話し合いで解決できない場合は、調停や裁判所の判断を仰ぐことができます。

借地上の建物の建て替え許可が得られない

借地上の建物を建て替える際、ほとんどの賃貸借契約では地主の承諾が必要と定められています。地主がこの承諾を拒否することで、必要な建て替えができないというトラブルが発生するかもしれません。

こうしたケースでは、承諾料の支払いを提案するなど、地主にもメリットのある条件を提示して交渉を進めましょう。

なお、賃貸借契約書に建て替えについて記載がなかったとしても、今後の関係性を良好に保つため、地主に確認をとっておくといいでしょう。

建物の売却を承諾しない​

借地権には「地上権」と「賃借権」の2種類があります。

それぞれ第三者への売却についての扱いが異なるため、どちらの借地権か確認することが重要です。

  • 地上権:建物を自由に売却できる
  • 賃借権:地主の承諾があれば、建物を売却できる

賃借権の場合、地主が売却を承諾しなければ、建物を手放したくても手放せなくなってしまいます。

まずは話し合いでの解決を目指しましょう。買主の属性や使用目的を説明し、地主の不安を取り除くよう努めます。また、承諾料の支払いを提案するなど、条件面での交渉も検討します。

それでも承諾が得られない場合は、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求める申立てができます(借地借家法第19条)。手続きに関しては専門家に相談するといいでしょう。

借地権相続時に起こり得るトラブルと対処法【相続人編】

借地権の相続では、相続人の間でもさまざまなトラブルが発生します。

具体的なトラブルへの対処法について詳しく見ていきましょう。

【相続人同士の間に起こり得る借地権相続トラブル】

  • 借地権の相続人選定で意見が分かれる
  • 複数人での共有相続によるトラブル
  • 借地権の評価方法での対立

誰が借地を相続するかで揉める

借地権付きの建物は一般的に財産として価値が高く、遺産の中でも大きな割合を占めることが多いため、誰が相続するかで意見が分かれやすい傾向にあります。

実家として使用していた相続人はそのまま引き継ぎたいと主張する一方で、遠方で暮らす相続人は売却して現金化を望むなど、立場によって希望が異なることがよくあるでしょう。

まずは相続人同士で話し合い、お互いの希望や事情を確認することが大切です。

話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所での「遺産分割調停」を利用しましょう。調停でも解決しない場合は、最終的に審判による解決を求めることができます。

借地を複数人の相続人で共有相続してトラブルになる

複数人で借地を共有相続することになった場合、トラブルが発生する可能性が高くなります。

例えば、「地代や固定資産税の支払い分担で意見が合わない」、「建物の修繕や建て替えの是非で対立する」、「一部の相続人が売却を希望して分割請求(民法256条1項)をする」といった問題が起きやすくなります。​​

また、相続人の一人が亡くなった場合、その権利が新たな相続人(配偶者や子どもなど)に引き継がれることで、さらに権利関係がややこしくなってしまうでしょう。

このことから共有相続はできる限り避けることをおすすめします。

どうしても共有相続する場合は、あらかじめ費用負担の方法や意思決定の仕方について、具体的に取り決めておくことが大切です。取り決めは書面で残し、将来のトラブルを防ぎましょう。

借地の評価方法について意見が分かれている

借地権の価値をどのように評価するかで、相続人同士の意見が分かれることもあるでしょう。借地権の評価方法には明確な基準がないため、遺産分割の際にトラブルになりやすいところです。

こうした場合、いくつかの不動産業者による査定価格を参考にしたり、不動産鑑定士による評価を取得したりして、お互いが納得できる根拠を設けることをおすすめします。

専門家への依頼は費用がかかりますが、公平な遺産分割を実現するために検討するといいでしょう。

借地権相続時に起こり得るトラブルと対処法【費用編】

借地権の相続では、さまざまな費用負担が発生します。

ここでは、主な費用面でのトラブルと、その具体的な対処方法について解説していきます。

【借地権相続時に起こり得る金銭面でのトラブル】

  • 高額な相続税の支払いが困難
  • 建物の解体費用の捻出ができない

相続税が高くて支払えない

評価額の高い借地件では、予想以上に相続税が高くなることがあります。特に都市部の借地権は高額になりやすく、相続人にとって負担となるかもしれません。

それでも納付が難しい場合は、「延納制度」の利用を検討しましょう。延納制度を使えば最長20年間にわたって分割で支払うことができます。ただし、利子税(年割合1〜6%)がかかる点に注意が必要です。

また、相続した財産そのもので納税できる「物納制度」の利用も選択肢の一つです。ただし、物納が認められるには「延納でも納付が難しい場合」など諸条件を満たさなければなりません。

小規模宅地などの特例を活用することで、相続税自体を少なくする方法もあります。配偶者や子どもが自宅として住んでいた土地の場合、評価額を最大80%減らすことが可能です。

返還したいが解体費用が払えない

借地を返還する際には建物を撤去して更地にする必要がありますが、解体費用の捻出が難しいケースがあります。木造住宅でも数百万円規模の費用がかかることも珍しくありません。

このような場合、まずは地主との交渉を試みることをお勧めします。地主が借地権の取り戻しを希望している場合、建物を買い取ってもらえる可能性があります。あるいは、解体費用の一部を負担してもらえる場合もあるでしょう。

交渉が難しい場合は、借地権と建物をセットにして第三者へ売却することも検討しましょう。借地権付きの建物であれば、解体しなくても売却できる可能性があります。ただし、第三者への売却では地主に対して承諾料の支払いが必要になることが一般的です。

また、建物を賃貸として活用し、収入を得ながら解体費用を貯める方法も考えられます。借地権の賃貸は地主の承諾が要らないケースがほとんどです。ただし、大きなリフォームや増改築をする場合は承諾が必要です。

なお、自治体によっては空き家の解体に対する補助金制度を設けているところもあります。給付額は解体費用の1/2〜1/5ほどです。こうした補助金制度を活用してもいいでしょう。

まとめ

借地権の相続では、地主との関係、相続人同士の関係、費用面などのトラブルが起こり得ます。

地主との間では名義変更料の請求や立ち退き要求、地代値上げなどの問題が、相続人同士では借地権の取得や評価を巡る対立が発生しやすいと言えます。また、相続税や解体費用など、予想以上の出費に悩まされるかもしれません。

いずれの場合も、早めに弁護士などの専門家に相談し、トラブルを最小限に防ぐことが重要です。特に法的な判断が必要な際は、専門家のアドバイスを受けることでスムーズな解決につながるでしょう。

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