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土地を借りて建てた家を売却する場合、地主の承諾は必要なのでしょうか。承諾料はいくらかかるのでしょうか。
借地権は財産権として売買の対象となりますが、地主との関係性や手続きの複雑さから、譲渡に不安を感じる方も多いはずです。
本記事では、借地権の譲渡に必要な地主の承諾や承諾料の相場、地主が承諾しない場合の対処法まで、専門家の知見をもとにわかりやすく解説します。これを読めば、借地権の譲渡に関する基礎知識が身につき、具体的な進め方のイメージがつかめるはずです。
借地権の譲渡とは

借地権の譲渡とは、土地所有者(地主)の承諾を得て、借地権者の地位を第三者に移すことをいいます。通常は借地上の建物の所有権と一緒に譲渡されます。
たとえば、借地権付きの建物を売却する場合、建物の所有権を移転する(移転登記をする)だけなら地主の承諾は不要ですが、それだけでは建物の買主は土地を適法に利用することができません。そのため、建物の所有権と合わせて借地権も譲渡することで、買主は適法に土地を利用できるようになります。
なお、地主の承諾なしに借地権を譲渡してしまうと、借地契約を解除されるリスクがあるため注意してください。また借地権の譲渡には、一般的に借地権価格の10%程度の承諾料(名義書換料)の支払いが必要になります。
借地権の譲渡に地主の承諾は必要

結論から申し上げますと、借地権の譲渡には原則として地主の承諾が必要です。これは民法612条1項で定められており、地主の承諾なしには借地権を譲渡することはできません。
なぜ地主の承諾が必要なのでしょうか。それは、借地権の契約が長期にわたる信頼関係に基づくものだからです。地主は、地代の支払い能力や信用性を確認したうえで借地人と契約を結んでいます。そのため、借地権が第三者に譲渡される場合も、新しい借地人が適切な人物かどうかを地主が判断する機会が必要とされています。
地主の承諾なしに借地権を譲渡してしまうと「無断譲渡」とみなされ、借地契約を解除されるリスクがあります。もし地主が承諾を拒否する場合は、「借地非訟」という裁判手続きを通じて、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めることができます。ただしこの場合、譲受人が決まっていることや、借地上に建物が存在することなどの条件を満たすことが必要です。
借地権の譲渡の際にかかる譲渡承諾料の相場

借地権を譲渡する際には、地主への「譲渡承諾料」(名義書換料とも呼ばれます)の支払いが必要となります。これは地主の承諾を得るための対価として支払われるものです。
譲渡承諾料の一般的な相場は、借地権価格の10%程度とされています。借地権価格とは、更地価格の6~7割程度とされる金額です。ただし、これはあくまでも目安であり、以下のような要因により変動することがあります。
- 借地権の残存期間
- 従前の権利金の支払い状況
- 地域性(都市部は比較的高く、郊外は低めになる傾向)
- 建物の建て替えの有無
- 契約条件の変更の有無
なお、裁判所による借地非訟(地主の承諾に代わる許可)の場合でも、通常は借地権価格の10%程度の承諾料支払いを条件に許可が出されます。ただし、これも絶対的な基準ではなく、個別の事情により調整されることがあります。
借地権を譲渡する際に必要な書類

借地権を譲渡する際には、以下の書類を準備する必要があります。売却手続きをスムーズに進めるため、事前に用意しておきましょう。
【借地権を譲渡する際に必要な書類】
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 建物の権利証(登記識別情報通知)
- 実印(印鑑登録がない場合は、事前に印鑑登録が必要)
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 住民票(登記簿上の住所と印鑑証明書記載の住所が異なる場合)
なお、権利証を紛失している場合は、司法書士に権利証に代わる書類を作成してもらう必要があります。また印紙税の納付も必要となり、売買金額に応じて印紙代が変わります。
事前に必要書類を確認し、不足している書類がある場合は早めに準備しましょう。また、不明な点がある場合は、不動産会社や専門家に相談することをおすすめします。
借地権を譲渡するまでの流れ

借地権の譲渡は、地主の承諾を得ることから始まり、最終的な引き渡しまで、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。
- 地主の承諾を得る
- 不動産会社に査定をしてもらう
- 仲介契約を結び売却活動を行う
- 売買契約を締結する
- 借地権譲渡承諾書を作成する
- 引渡し
ここでは、借地権譲渡の具体的な流れを6つのステップに分けて解説します。
1.地主の承諾を得る
まず地主に対して借地権譲渡の意向を伝え、承諾を得る必要があります。この際、譲渡承諾料(名義書換料)の金額や支払時期についても協議します。譲渡承諾料は一般的に借地権価格の10%程度です。
地主が承諾を渋る場合は、前述したように、借地非訟という裁判手続きを通じて、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求めることも可能です。ただし、この場合は譲受人が決まっていることや、借地上に建物が存在することなどの条件を満たす必要があります。
2.不動産会社に査定をしてもらう
借地権の適正な売却価格を知るために、不動産会社に査定を依頼します。価格は一社だけでなく、複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。査定の際は、建物の設計図や契約書、重要事項説明書などの資料を用意しましょう。
不動産会社は、立地条件、建物の構造、築年数、借地権の残存期間などを考慮して査定額を算出します。また、譲渡承諾料や諸経費なども加味した実質的な手取り額についても確認しておくことが重要です。
3.仲介契約を結び売却活動を行う
適切な不動産会社を選定したら、仲介契約を締結します。仲介業者は借地権の専門知識を持つ会社を選ぶことをおすすめします。一般の不動産会社では借地権取引の経験が少なく、地主との交渉や手続きが円滑に進まない可能性があります。
仲介業者は、物件情報の広告、内見の案内、購入希望者との価格交渉など、売却活動全般をサポートします。この際、地主との交渉も仲介業者に依頼することで、スムーズな売却につながります。
4.売買契約を締結する
買主が決まったら、売買契約を締結します。契約書には売却金額、引渡し時期のほか、「地主の承諾を得ていること」を必ず明記する必要があります。
売買契約時には仲介手数料や印紙税などの費用が発生します。仲介手数料は「売却価格の3%+6万円+消費税」が一般的です。また契約書には適切な印紙を貼付する必要があり、印紙代は売買金額によって変動します。これらの費用について事前に確認しておきましょう。
5.借地権譲渡承諾書を作成する
借地権譲渡承諾書は、地主の正式な承諾を証明する重要な書類です。この書類には、譲渡の承諾内容、建替えの承諾(必要な場合)、譲渡承諾料の金額と支払時期などを明記します。
借地権譲渡承諾書は借地人が作成し、地主の署名捺印をもらいます。この書類は法的効力を持つ重要な文書となるため、不動産会社や行政書士などの専門家に作成を依頼しましょう。
6.引渡し
最後に、買主への物件引渡しと所有権移転登記を行います。引渡しの際は、建物の鍵の受け渡しや、電気・ガス・水道などの名義変更手続きも必要です。
所有権移転登記は、一般的に司法書士に依頼して行います。登記費用は通常、買主負担となりますが、売主は必要書類の提出や印鑑証明書の準備など、登記手続きのための協力が必要です。
借地権の譲渡が地主に認められなかった場合の対処法

地主が借地権の譲渡を認めない場合でも、諦める必要はありません。繰り返しになりますが、借地借家法では「借地非訟」という制度が設けられており、裁判所に対して地主の承諾に代わる許可を求めることができます。ただし、借地非訟の申立てには以下の3つの重要な条件があります。
- 譲渡の前に申立てを行うこと(建物の引渡しや所有権移転登記の前であること)
- 譲渡の相手が既に決まっていること(仲介業者を通じて買主を探す前の許可申立ては不可)
- 借地上に建物が存在すること
裁判所は、新しい借地人の資力や信用性、これまでの借地の利用状況などを考慮して判断を下します。多くの場合、借地権価格の10%程度の承諾料の支払いを条件に許可が与えられます。
なお、この申立てがあった場合、地主には「介入権」という権利が認められており、第三者への譲渡を阻止して自ら借地権を買い取ることもできます。
まとめ
借地権の譲渡は、正しい知識と適切な手順で進めることが重要です。地主の承諾を得ることから、譲渡承諾料の支払い、必要書類の準備、そして実際の引渡しまで、各ステップで専門的な対応が必要となります。
特に地主との交渉は慎重に進める必要があり、承諾が得られない場合は借地非訟という法的手段も用意されています。借地権の専門家に相談し、適切なサポートを受けることで、スムーズな譲渡手続きを実現し、トラブルのない取引を進めることができます。
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