借地権の登記は必要?登記のメリット、必要書類、費用を解説

建物を建てるために他人の土地を使用する借地権は、時として複雑な権利関係を生み出します。借地権の登記は法律上の義務ではありませんが、土地所有者や権利関係の変動によって生じる様々なリスクから身を守るために、重要な役割を果たします。
本記事では、借地権の登記タイミングや手続き方法、必要な書類から費用まで、借地権者の権利を守るために必要な知識を詳しく解説していきます。

借地権の登記は義務ではないがメリットが多い

借地権の登記制度は、土地の利用権を公的に証明する手段として重要な意味を持ちます。借地権のうち賃借権については、登記に地主の承諾が必要となり実務的には困難が伴うため、実際の登記例は限られています。しかしながら、第三者への対抗要件として機能するなど、重要な法的効果をもたらす制度といえます。
特に注目すべきは、借地権付き建物の登記です。建物の登記は、借地人が単独で行うことができ、これによって借地権の存在を示す有力な証拠となります。ただし、建物の完成から1ヶ月以内に表題登記を行う必要があるので、必ず期限を守りましょう。

借地権を登記するメリット【地主編】

土地所有者である地主側の視点からみると、特に定期借地権において登記の重要性が高まります。50年以上という長期の契約期間中、契約書の紛失や相続による権利関係の変動が起こりやすく、登記があることで権利関係を明確に示すことができます。
また、借地権付き建物が第三者に譲渡された場合でも、登記があれば定期借地権の存在を明確に示すことができ、契約期間満了時の土地返還請求をスムーズに行うことが可能です。このように登記は、将来的な土地利用の安定性を確保する手段として機能します。

借地権を登記するメリット【借地権者編】

借地権者にとって最大のメリットは、土地所有者の変更があった場合でも借地権を確実に主張できる点です。相続や売買によって地主が変わっても、登記があれば新たな所有者に対して借地権の存在を主張できます。
また、火災や災害による建物の滅失時にも重要な意味を持ちます。通常、建物の滅失により対抗要件が失われますが、借地権の登記があれば権利の主張が可能です。不測の事態に備える保険的な機能を果たすと言えます。
さらに、二重賃貸や不法占拠者とのトラブルが発生した場合にも、登記は有力な証拠として機能します。このように登記は、借地権者の権利を守る重要な法的手段となります。

借地権の種類とは?

借地権は、建物を建てる目的で他人の土地を使用する法的権利を指します。土地所有者(地主)との契約に基づき、一定期間土地を占有し、その上に建物を所有することができます。借地権者は地主に地代を支払いながら、自己所有の建物で居住したり事業を営んだりすることが可能です。 となります。
借地権には「地上権」と「賃借権」という2つの基本的な権利形態があり、その性質や効力は大きく異なります。
地上権は、土地を直接的に支配できる強力な権利です。民法上の物権として位置づけられ、地主の承諾なく第三者への譲渡や担保を設定できます。 が可能です。また、地主には登記への協力義務があり、一度設定されると地主が変更になっても権利を主張できます。主にインフラ設備や大規模施設の用地として利用されることが多く、一般住宅での利用は稀です。
一方、賃借権は土地賃貸借契約に基づく債権的な権利です。地主に地代を支払って土地を使用する権利で、建物の建て替えや権利の譲渡には地主の承諾が必要となります。登記には地主の協力が必要ですが、義務ではありません。一般的な借地権のほとんどがこの賃借権によるものです。土地を借りて住宅を建てる場合、通常はこの形態が採用されます。
借地権の種類と特徴を表で比較すると、以下のようになります。
スクロールできます→
借地権
地上権 賃借権
設置行為 地上権設定契約 土地賃貸借契約
存続期間 地主との取り決めによる 30年以上(法定期間あり)
地代支払いの有無 地主との取り決めによる 地代支払いは必須
借地権の売却 地主の承諾不要で自由に売却可能 地主の承諾が必要
登記の義務 地主に登記協力義務あり 登記の義務なし(地主の承諾必要)
抵当権の設置 借地権自体に抵当権設定可能 借地権には抵当権設定不可(建物には設定可能)
このように、同じ借地権でも権利の性質や効力が大きく異なるため、契約時には慎重な検討が必要です。とりわけ一般的な賃借権では、将来の建て替えや譲渡などを見据えて、地主との良好な関係を維持することが重要となります。

借地権の登記が必要になるタイミング

借地権の登記は、土地利用に関する重要な法的手続きであり、主に4つの重要な局面で必要になります。借地契約の開始時、権利の譲渡時、相続による権利の承継時、そして契約終了による土地返還時です。それぞれの局面で適切な対応を取ることが、安定した土地利用の継続に不可欠です。
【借地権の登記が必要になるタイミング】
  • 借地契約をした時や建物を建てた時
  • 借地権の譲渡を受けた時
  • 借地権を相続した時
  • 借地権を解消し返還する時

借地契約をした時や建物を建てた時

借地契約の締結時点から、土地利用権を公的に証明する必要性が生じます。賃借権の場合、多くは建物の所有権保存登記によって対応します。この登記は建物完成から1ヶ月以内という法定期限があり、違反すると10万円以下の過料が科される可能性があります。
借地権自体の登記も理論的には可能ですが、地主の承諾を得る必要があるため、実務的には建物の登記で代替することが一般的となっています。建物登記により、第三者に対する対抗要件としての機能を確保できます。

借地権の譲渡を受けた時

建物と借地権を購入したり、贈与で取得したりする場合には、所有権移転登記が必要となります。賃借権の場合、譲渡には地主の承諾が前提となりますが、この承諾を経て適切に登記を行うことで、新たな権利者としての地位を確保できます。
建物の建て替えに伴う名義変更の場合も、実質的な借地権譲渡とみなされる可能性があるため、地主の承諾を得るプロセスが重要です。承諾なく名義変更を行うと借地契約解除の原因となる可能性があるので、細心の注意を払いましょう。

借地権を相続した時

相続による借地権の取得は、被相続人の権利義務の包括承継として扱われます。この場合、地主の承諾は不要ですが、適切な相続登記を行いましょう。将来的なトラブルを防ぐため、地主への通知は書面で行うことが望ましいとされています。
ただし、遺言による遺贈の場合は第三者への譲渡として扱われ、地主の承諾が必要となります。承諾が得られない場合は、家庭裁判所への許可申立てという手段も検討する必要があります。

借地権を解消し返還する時

借地契約終了時には、建物を取り壊して更地にした上で、これに伴う滅失登記が必要となります。この登記は建物の滅失から1ヶ月以内に行わなければならず、期限を過ぎると行政処分の対象となる可能性があります。
滅失登記を怠ると、建築確認申請が受理されない、金融機関の融資を受けられない、土地売却時に買主がローンを組めないなど、様々な不利益が生じる可能性があります。このため、期限内の適切な手続きが強く求められます。

借地権の登記の手順と必要書類

借地権の登記手続きは、主に法務局での申請を通じて行われます。手続きの詳細は登記の種類や目的によって異なりますが、基本的な流れは共通しています。必要書類の準備から登録免許税の納付、法務局への申請までの一連の手続きを、確実に進めることが重要です。

借地契約をした時や建物を建てた時に登記するケース

建物の新築時における所有権保存登記は、借地権者にとって最も基本的な登記手続きです。登記により借地権の存在を証明する重要な法的根拠となるため、慎重な対応が求められます。
必要書類として、以下のものを用意します。
  • 登記申請書(法務局指定の様式による)
  • 建物の図面および各階平面図
  • 建築確認通知書および検査済証の写し
  • 地主の承諾書(賃借権の場合)
  • 申請人の印鑑証明書および住民票
  • 固定資産評価証明書
登記費用は、建物の固定資産税評価額に応じた登録免許税(評価額の0.4%、住宅用家屋の場合は0.15%)のほか、専門家へ依頼する場合の報酬(一般的に5万円から8万円程度)が必要となります。

借地権の譲渡を受けた時に登記するケース

譲渡による所有権移転登記では、譲渡契約の存在を証明する書類を用意しましょう。売買や贈与など、譲渡の形態に応じて必要書類が変わります。
必要書類は以下の通りです。
  • 不動産売買契約書または贈与契約書
  • 地主の承諾書(賃借権の場合)
  • 登記識別情報(権利証)
  • 譲渡人・譲受人双方の印鑑証明書
  • 登記原因証明情報
  • 建物の図面一式
登記費用として、固定資産税評価額の2%(住宅用家屋の場合は0.3%)の登録免許税と、司法書士報酬(通常8万円から12万円程度)が発生します。

借地権を相続した時に登記するケース

相続による登記では、相続人の確定と権利関係の証明が重要となります。遺産分割協議が必要な場合は、その手続きも踏まえた対応が求められます。
【主な必要書類】
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 法定相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書(複数相続人の場合)
  • 相続人の印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 登記原因証明情報
費用としては、固定資産税評価額の0.4%の登録免許税のほか、司法書士報酬として10万円から15万円程度を見込む必要があります。

借地権を解消し返還する時に登記するケース

建物滅失登記は、更地返還の証明として重要な意味を持ちます。手続きの遅延は様々なトラブルの原因となるため、迅速な対応が求められます。
必要書類として下記があります。
  • 滅失登記申請書
  • 建物滅失証明書
  • 解体業者の登記事項証明書
  • 解体工事の契約書および完了証明書
  • 土地家屋調査士の作成する滅失建物の図面
土地家屋調査士への依頼費用として4万円から6万円程度を見込む必要があります。この場合、登録免許税は不要です。

まとめ

借地権の登記制度は、土地利用に関する権利関係を明確にし、借地権者の権利を法的に保護する重要な手段です。建物の表題登記や滅失登記には1ヶ月の期限があり、遵守が求められます。
賃借権の登記には地主の承諾が必要で容易ではありませんが、建物の登記で代替することも可能です。将来的なトラブルを防ぐためにも、専門家に相談しながら適切なタイミングで登記手続きを進めることが重要となります。
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