借地権を売却!
税金の計算方法と特別控除、
買い取ってもらうときの費用相場まで解説

本記事では、借地権の売却について、借地の種類や税金などの概要と具体策をまとめています。

借地権の売却を検討している人、借地権の売却益に対してどのくらい税金がかかるのか知りたい人、まだ売却予定がなくても知識として知っておきたい人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

売却前に借地の種類を確認!

借地権の売却を考える際、まずは現在の借地の種類を確認することから始めましょう。借地にはさまざまな種類があり、その種類により契約期間などの定めが違うためです。

一般的に取引されている借地権はほとんどが「定期借地権」で、建物買取請求ができない点が大きな特徴です。現行の定期借地権の主な要件は以下の通りです。

  1. 存続期間は50年以上
  2. 借地は期間満了後に地主に返還する
  3. 建物の買取請求はできず、更地にして返還する

契約の更新がなく、期間が満了したら建物を取り壊して更地にして返還しなければならない、という点が非常に重要です。売却したいタイミングで期間満了が迫っている場合、購入者が長く住めないため、売却の取引が難しいケースもあります。

ただし、1992年8月以前から土地を借りている場合は、旧借地法に基づく借地権において、借地人は以下の内容を地主に求めることができます。

  1. 契約の更新
  2. 建物再築による期間の延長
  3. 期間満了による建物の買取(更新拒絶された場合に「建物買取請求」可)

借地権の売却にかかる税金と計算方法

借地権の売却に際し、発生する主な税金は次の通りです。それぞれの概要についてまとめていきます。

  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税(抵当権抹消登記)

譲渡所得税

不動産を売却したときには所得税と住民税が発生し、この2つの税金を総称して「譲渡所得税」といいます。譲渡所得税を算出するには、まず「譲渡所得」を把握することが必要です。

譲渡所得の計算方法は「借地権の売却価格―(借地権を購入したときの代金+借地権を売却するためにかかった諸費用)―特別控除」で求められます。

譲渡所得税は所有期間によって短期譲渡所得・長期譲渡所得の区分があり、それぞれ税率が異なります。

所有期間 税率
5年以内 (短期譲渡所得) 39.63%↓
(所得税 30.63%・住民税 9%)
5年を超える (長期譲渡所得) 20.315%↓
(所得税 15.315%・住民税 5%)

※上記税率には、復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされています。

印紙税

印紙税とは、売買契約書に貼付する収入印紙にかかる税金です。税額は、売買契約書に記載された売買価格によって変わります。たとえば500万円以上1000万円以下の売買価格の場合、必要な印紙税は5000円となります。

登録免許税等(抵当権抹消登記)

借地上に建てた建物を解体する場合は、登記にかかる登録免許税とあわせて登記手続きに関する諸費用が発生します。この場合、登録免許税としての納税とは別に必、登記手続きを司法書士へ依頼する費用も発生します。建物付きで売却する際に抵当権を設定している場合は、その抹消にかかる費用もかかります。

借地権の売却で受けられる特別控除

一定の条件を満たすと、譲渡所得が最大で3,000万円控除されます。要件をみたし適用される場合、課税譲渡所得金額の計算方法は以下の通りです。

課税譲渡所得金額 = 不動産の売却代金 -(取得費+譲渡費用)-3,000万円

※譲渡所得が3,000万円以下の場合、納税額は0円となります。

特別控除の要件は次の通りです。詳細について不明な場合は、国税庁Webサイトから確認することをおすすめします。なお、本控除の適用を受けるには、以下5項目全てを満たしている必要があります。

(1)売った資産は、下記のイからホまでのいずれかに該当する資産であること。

イ 現に自己居住の家屋

ロ 以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限ります。対象となる家屋は、住まなくなった日以後の用途不問)

ハ 上記イまたはロの家屋とともに売ったその敷地や借地権

ニ 上記イまたはロの家屋を取り壊した場合のその敷地で、次の2つの要件すべてに当てはまるもの。
(イ) その敷地の譲渡(売買)契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

(ロ) 家屋を取り壊してから譲渡(売買)契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

ホ 家屋が災害により滅失した場合のその敷地で、次の区分に応じた期限までに売るもの(これらの土地の場合は、住まなくなった日以後、どのような用途に使用していてもかまいません。)

(イ) 上記イの家屋の敷地の場合は、災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。

(ロ) 上記ロの家屋の敷地の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。

(2)売った年の前年および前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

(3)売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。

(4)売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

(5)親子や夫婦、親族など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと。

借地権の売却にかかる費用相場

借地権の売買契約時・決済時にかかる費用を紹介します。主に次の費用が発生し、費用の相場についても解説します。

  •  地主への承諾料:地主への交渉料のようなもの。法的な決まりはないため費用目安はケースにより、不要となる場合もある
  •  仲介手数料:仲介業者に支払う手数料。売買代金が400万円以上の場合は売買代金の3%+6万円と消費税
  •  取り壊し費用:建物を解体する費用。坪3万円~費用目安(地域や環境による)
  • 測量費:土地の形状や面積、隣地境界線などを測る際に必要となる。50万円前後が目安

借地権を売却する方法4つ

借地権の売却方法について、主な4つを解説していきます。

  • 地主に買い取ってもらう
  • 所有権と借地権を地主と共同で売却する
  • 借地権を買い取って売却する
  • 不動産会社に買い取ってもらう

判断基準の目安として、今すぐ手放したいなら不動産会社に買い取ってもらう方法がおすすめです。高い売却益を得たいなら地主に買い取ってもらう方法があります。

地主に買い取ってもらう

借地権を地主が買い取ることで、地主はその土地の所有権を売却しやすくなります。地主が相続で代替わりしているケースや、地価が高騰している場合は買取の交渉がしやすいため、スムーズに進む可能性が高いでしょう。

所有権と借地権を地主と共同で売却する

地主が土地の所有権、借地人が借地権と借地上の建物の所有権を共同で売却することで、一般個人向けにも売却しやすくなります。また、借地権の取り扱いに慣れた不動産会社は、地主と交渉してこの手段も選ぶことができます。

所有権を買い取って売却する

借地人が底地(借地となっている土地)を買い取る方法もあります。通常の所有権の土地建物として第三者に売却しやすくなるメリットがあります。

不動産会社に買い取ってもらう

借地権の売却方法のうち、もっともスピーディな解決方法は専門業者に買い取ってもらう方法です。借地権の活用ノウハウや、借地権の評価額の算出方法なども熟知しており、地主との交渉にも長けているためです。個人間の交渉に比べて、不動産会社に交渉から手続きまで任せることができるため、安心です。

相続した借地権の売却

相続した借地権を売却するケースについて解説していきます。

まず、相続と遺贈は似ているようで違う制度である点に注意しましょう。相続は、被相続人の財産に属した一切の権利義務を相続人が承継する仕組みです。(民法第896条)。遺贈は、相続人に限らず第三者にも遺言で遺産を移転させることができる仕組みです。

いずれも被相続人が死亡してから権利が発生するという点では同じですが、相続は基本的に親族や身内に限定されるのに対し、遺贈は誰でもよいという大きな違いがあります。学校や施設など、法人でも受け取ることが可能です。

また、売却には相続登記が必要です。売却には相続人全員の合意が必要となるため、この点も注意しましょう。

借地権を売却したときの会計処理

借地権は非減価償却資産に分類され、物理的な形態を持たない財産とされる無形固定資産として資産計上が必要となります。
そのため、借地権は種類を問わず、会計処理上はすべて「借地権」として取り扱います。また、仕訳勘定科目では「借地権」を用いることになっています。
例として、借地権を売却して代金が普通預金に振り込まれたときの仕訳方法は次の通りです。

借地権を売却したときの損益計上は、権利金と売却金額の差額となります。そして、借地権設定された土地を売却すると、借地権は消滅します

借方 貸方
普通預金〇〇 借地権〇〇
固定資産売却益〇〇

次の例は「借地権設定している建物を売却したときの仕訳」です。

借地権を設定している建物を売却したときは、貸方に対象となる建物の簿価を記載することになります。

借方 貸方
普通預金〇〇 建物〇〇
借地権〇〇
固定資産売却益〇〇

まとめ

借地権の売却を検討する際は、まず借地の種類を確認し、適切な売却方法を選択することが重要です。主な売却方法には、地主への買取依頼、地主との共同売却、所有権購入後の売却、不動産会社への売却があり、状況に応じて最適な方法を選べます。

税金面では、譲渡所得税が主要な負担となり、所有期間が5年以内か超えるかで税率が大きく異なります。ただし、一定条件下で最大3,000万円の特別控除を受けられる制度もあるため、有効活用を検討しましょう。

また、売却時には地主への承諾料、仲介手数料、建物解体費用、測量費などの諸費用が発生します。スムーズな売却のためには、これらの費用を事前に把握し、計画的に進めることが成功の鍵となります。

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